研究課題
分担研究者豊原らによって新規に開発された4’-[methyl-11C]thiotymidine(11C チオチミジン)(以降11C-4DST と表記)は、PET 診断薬として世界で初めて生体で腫瘍細胞のDNA に取り込まれることが確認された薬剤である。本研究において、種々の脳腫瘍や非腫瘍性疾患患者における臨床計測を行った。建久機関において述べ約90名の脳腫瘍患者の計測を行った。原則として動脈採血下の動態解析から腫瘍DNA分画への診断薬の取り込み速度の定量計測を行ないつつ、後期では定常状態の定性的計測に移行していった。期間中一例も臨床使用による有害事象は発生しなかった。全例で現在の脳腫瘍PETにおける最も優れた診断薬と認識されている11Cメチオニンと併用しての計測を行い、二つの診断薬の特性を比較した。その結果、全グリオーマにおいて4DSTの取り込みが腫瘍の増殖能を11Cメチオニン以上に良く反映することが判明した。主たる原因はこれまで細胞増殖能のみでなく血管床の影響が取り込みに関連する事が判明している11Cメチオニンは良性の乏突起細胞腫にも強く取り込まれるが、4DSTの取り込みは強くないことによっていた。また炎症と腫瘍の鑑別には11Cメチオニン以上に4DSTが有用であることも判明した。一方で、豊原の動物実験で4DSTは急性炎症にはほとんど取り込まれないが慢性炎症になると取り込みが増加することも判明しており、本診断薬が決して万能では無いことも明らかになった。本診断薬の有用性と注意点を明かにし研究期間を終了した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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