研究課題/領域番号 |
23390345
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
山本 清二 浜松医科大学, メディカルフォトニクス研究センター, 准教授 (60144094)
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キーワード | 脳神経疾患 / 神経科学 / 虚血耐性 / 神経保護 / 共焦点顕微鏡 |
研究概要 |
1.目的 低酸素やショックに対して血圧上昇と脳血流増加をもたらす防御反応(diving reflex)に関係する小脳室頂核(FN)の電気刺激(1時間)を中大脳動脈閉塞後に行うと脳梗塞が縮小する。申請者らは、脳特異的なミトコンドリア蛋白であるuncoupling protein 4 (UCP-4)が、FN電気刺激による神経保護効果のメカニズムの主役であることを見出してきた。本研究では、脳電気刺激による虚血耐性のメカニズムを詳細に検討し、その結果を臨床応用するための橋渡し研究(臨床応用可能な実験的治療法の確立)を行うことを目的とし、以下を検討する:(1)脳電気刺激によりUCP-4発現が誘導されるメカニズムは何か:(2)UCP-4発現による神経細胞の虚血耐性のメカニズムは何か;(3)神経保護的なメカニズムを損なうことなくUCP-4を発現させる他の方法により、将来臨床応用可能な実験的治療法はないか。 2.結果 FN電気刺激による神経保護効果は、K_<ATP>-channel opening blockerにより消失することがすでに明らかになっているので、平成23年度には、培養ニューロ2A(N2A)細胞(神経芽細胞)とアダルトラット個体において、UCP-4が発現すると赤色蛍光も同時に発現し観察できるレポーターベクターを用い、以下の点を明らかにした。 (1)N2A細胞で、K_<ATP>-channel openerによりスーパーオキシド(0_2^-)が発生して細胞内にUCP-4が発現する (2)ラット(280~300gオス)にK_<ATP>-channel openerを腹腔内投与すると、大脳にUCP-4が発現する 以上より「脳電気刺激によりUCP-4発現が誘導されるメカニズム」として「FN刺激によりK_<ATP>-channelが開きスーパーオキシド(0_2^-)が発生して大脳にUCP-4が発現する」ことが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年間の研究目的の3つ(9.研究実績の概要に記載)のうちの1つである「(1)脳電気刺激によりUCP-4発現が誘導されるメカニズムは何かを明らかにする」ことを、初年度である平成23年度において達成できたから。
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今後の研究の推進方策 |
2年目以降は以下を明らかにする: 1.脳電気刺激によりUCP-4発現が誘導されるメカニズムは何か FN刺激によりどのような経路でK_<ATP>-channelが開くのかを明らかにする。想定しているのは、アセチルコリン受容体刺激であり、UCP-4が発現すると赤色蛍光が観察できるレポーターベクターを用い、Ach受容体agonistであるcarbacholによりUCP-4が細胞内に発現するか否かを蛍光イメージングで検証する。 2.UCP-4発現による神経細胞の虚血耐性のメカニズムは何か UCP-4を発現させた細胞で、化学的低酸素状態にした時のカルシウム反応をカルシウム指示性蛍光色素で評価すると共に、ヒドロキシラジカル産生を蛍光色素で評価する。
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