研究実績の概要 |
小脳室頂核(FN)電気刺激による脳特異的なuncoupling protein 4 (UCP4) を介した脳虚血に対する神経細胞保護効果のメカニズムに関して、FN刺激による効果はkATP-channel opening blockerとatropine投与により消去される結果から想定される可能性として「FN刺激後からkATP-channel openによるUCP4発現の、どのレベルにcholinergic systemが関与しているのか」を明らかにするため実験を行った。SHRラットにおいて、UCP4-promotor-TOMATO (combination of UCP4-promoter and TOMATO, red fluorescence protein) plasmidを脳室内投与し、kATP-channel openerであるジアゾキシド(10 mg/kg) 腹腔内投与による場合と、アトロピン(1.0 mg/kg)投与後にジアゾキシドを投与した場合の脳内TOMATO蛍光蛋白発現を比較検討した。【結果】ジアゾキシド腹腔内投与により、TOMATO蛍光蛋白発現(赤色蛍光)はdiffuseに増加したが、アトロピン投与で変化はなかった。すなわち、cholinergic system刺激は、kATP-channel openの上流、すなわちFN stimulationによるkATP-channel openを引き起こすために必要であると考えられた。なお、UCP4-SiRNAによりFN電気刺激の虚血に対する神経細胞保護効果が消去されるか否かをラット個体レベルで検討するため実験を行ったが、UCP4-SiRNAの脳室内投与後に局所脳虚血を負荷すると動物の死亡率が半数近くになり、UCP4発現抑制が脳虚血に対する内因性の脳保護効果を抑制する可能性を含めて原因を検討する必要を残した。
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