研究課題/領域番号 |
23390351
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
倉津 純一 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (20145296)
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研究分担者 |
中村 英夫 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30359963)
秀 拓一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40421820)
荒木 令江 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (80253722)
牧野 敬史 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (90381011)
黒田 順一郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (90536731)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | グリオーマ癌幹細胞(GSC) / 薬剤内包ミセル / ヌードマウス / GSC特異的抗体 / GSC薬剤耐性 / 幹細胞樹立 / テモゾロマイド |
研究概要 |
我々は、グリオーマ癌幹細胞(Glioma Stem Cell, 、以下GSCと示す)に特徴的な放射線治療および化学療法抵抗性を克服すべく、GSCを特異的にターゲットにする治療法の開発をおこなっている。 薬剤を内包したミセルをGSCに選択的に到達させるために、GSCを特異的に認識する抗体をミセルに付加するシステムを構築した。GSCを特異的に認識する抗体に関しては、いくつかの候補を選択し、絞り込みを行った。培養細胞では細胞内分子でも抗体が認識するが、動物実験では細胞内分子では抗体が認識しないことが分かった。GSCに関しては、臨床サンプルをもちいてStem Cellの培養条件で培養細胞として樹立していたが、効率がわるいために、手術にて摘出サンプルをダイレクトにヌードマウスに植え込むことで、樹立効率が上がっている。今年度において、GSCを安定してヌードマウスに植え込み、脳腫瘍モデルが得られるシステムは構築された。薬剤内包ミセルに付加する抗体の選択に関しては、いくつかの候補分子を同定したが、GSCを認識する特異性や抗体の質に関して改良の必要性がある。GSC認識の特異性が高く、質の良い抗体の作成に関して最重点的に取り組んだ。 さらに、GSC細胞がいくつか樹立されたために、GSCの放射線治療および化学療法に抵抗性のメカニズムに関しても実験をおこなった。テモゾロマイドという抗がん剤を培養細胞に投与して、GSCとGSC以外の腫瘍細胞とで発現している分子の相違点を検討した。 化学療法抵抗性に関して重要な役割を果たしている分子が同定されれば、我々が構築して治療法のターゲット分子として用いることができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までいろいろなシステム作りに取り組み、実験を進めていくにあたって安定したシステムは構築できている。例えば、グリオーマ癌幹細胞(GSC)の樹立およびそれに利用した培養実験や、動物モデルを用いたGSC移植などに関してはおおむね問題なくできている。GSC特異分子の同定に関してもマイクロアレイやプロテオミクスなどの方法にて絞り込みはできてきている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度において、我々の構築したGSC特異的抗体が付加された薬剤内包ミセルの実用化が可能かどうかを見極める必要がある。GSCを認識する抗体はすでにいくつかあるものの、GSCに対する選択性が問題である。GSCでない細胞とのクロスオーバーを避けるために、より質の高い抗体の作成が必須である。
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