研究課題
本研究の目的は、脳幾能イメージング去を用いて失語症患者に残存する言語目断幾能を検索し、その結果に基づいて言語回復のリハビリテーションメニューを設計支援する、新たなテーラーメード脳機能画像診断法を創出することである。近年、失語症患者の言語機能の回復は、言語処理に関係しない部位の新たな機能獲得ではなく、残存する言語脳機能の活用によるという説が有力になりつつある。そこで、本研究では、MEG、fMRI、光トポグラフィを組み合わせたマルチモーダルな脳機能イメージング法によって言語課題遂行時の失語症患者の脳活動のパターンから残存言語脳機能を最大限に活用するための、患者の状態に即した最適なリハビリテーションメニューの設計支援を行なう。これらを統合して、失語症の回復を支援するための、テーラーメード脳機能画像診断システムの基礎を構築する。これまでの研究において失語症患者の残存脳機能探索に有望と見られた呼称課題について、光トポグラフィを用い、失語症35名(脳出血9、脳梗塞26)の亜急性期患者に対して検討をおこなった。解析方法としては、発話に伴うノイズに頑健と考えられる脳血流動態基底関数への回帰に基づく一般線型モデルを用いた。この結果、左前頭前野背外側部、左ウェルニケ領域、右側頭葉と頭頂葉の一部を含む領域に有意な賦活が見いだされた。特に、左ウェルニケ野の賦活は顕著で、この賦活パターンは、ブローカ野損傷の機能代償を表す賦活パターンとしては妥当なものと考えられた。しかし、他の領域の賦活が妥当なものであるかどうか、ノイズ混入によるアーティファクトの可能性を考慮しつつ、より詳細な解析を行う。本研究は過去に類例のない研究であり、失語症患者への影響も考慮等、その成果が担う責務は重大である。このため、成果発表に際しては細心の注意を払う必要があると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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