研究課題/領域番号 |
23390359
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
茂呂 徹 東京大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員(特任准教授) (20302698)
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研究分担者 |
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
石原 一彦 東京大学, 工学系研究科, 教授 (90193341)
三浦 俊樹 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20376479)
金野 智浩 東京大学, 工学系研究科, 特任准教授 (80371706)
橋本 雅美 ファインセラミックスセンター, 材料技術研究所, 副主任研究員 (20450851)
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キーワード | 医療・福祉 / バイオテクノロジー / 運動器 / 関節 / ナノバイオ |
研究概要 |
本研究の目的は、次世代人工股関節として、「高潤滑能をもつバイオミメティック人工股関節」に関する基礎研究を行うことである。今年度は、以下の検討を行った。 1.PMPC処理の金属・セラミックス表面への応用 1)金属表面の至適PMPC処理条件の検索:PMPCによるナノ表面層について、処理方法および処理条件を変化させ、至適なプロセスを検索した。 2)PMPC処理金属表面の潤滑性の評価:1)で構築したPMPC層について、摩擦係数からその潤滑性を検討した。さらに、手術後の歩行を再現する股関節シミュレーターを用い、PMPC処理したコバルトクロム合金面の耐摩耗性の評価を開始した。 2.潤滑性の向上を目指した新規摺動面形状の開発 1)溝つき人工股関節表面の潤滑性の評価:上記1.2)の検討とともに、ポリエチレンライナーの表面の機械加工痕の深さをかえたライナーを作製後、PMPC処理し、股関節シミュレーターを用い、コバルトクロム合金骨頭と組み合わせてその耐摩耗性の評価を開始した。 2)陥凹部設計の因子が高潤滑能に与える効果の検討:PMPCによる表面層の構造、運動性について検討を行うため、ポリエチレン表面に存在する深さ約10μmの機械加工痕が摩擦係数に与える影響ついて検討した。 3)関節窩構造を有する人工股関節摺動面の開発:生体の関節窩構造について、「関節液を貯留し潤滑を促進する構造」という解剖学的な視点から検討した。その結果に基づいて摺動面の形状変更を検討し、基本となるプロトタイプモデルを作製した。 以上の結果は、「高潤滑能をもつバイオミメティック人工股関節」の実用化へ向けた基礎検討を推進するための確信を得るに十分な結果であった。平成24年度は、上記の検討を継続するとともに、効果的な骨頭の大きさ、摺動面材料の組み合わせ等についても検討を加える予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究立案時の年次計画に沿って研究が進展しているため、
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今後の研究の推進方策 |
1.PMPC処理の金属・セラミックス表面への応用 平成23年度に確立したPMPC処理方法についてさらに解析を進めるとともに、摩擦試験機、股関節シミュレーターをもちいて、その潤滑特性等につき評価する。 2.潤滑性の向上を目指した新規摺動面形状の開発 溝つき人工股関節表面の潤滑性の評価を進める。また生体の関節窩を模した陥凹部設計の因子が、高潤滑能に対して、どのように効果を与えるか検討する。さらに、平成23年度に作製した「関節液を貯留し潤滑を促進する構造」を有する架橋ポリエチレン製のライナーを用い、股関節シミュレーター試験による評価を行う。
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