研究課題
本研究の目的は、次世代人工股関節として、「高潤滑能をもつバイオミメティック人工股関節」に関する基礎研究を行うことである。今年度は、以下の検討を行った。1.PMPC処理の金属・セラミックス表面への応用 1) 金属・セラミックス表面の至適PMPC処理条件の検索：PMPC処理によって形成するナノメーター単位の表面層について、処理方法および処理条件（重合開始剤濃度、溶液濃度、処理時間、紫外線強度など）を変化させ、プロセスの最適化を行った。 2) PMPC処理金属表面の潤滑性の評価：対向する表面には、ポリエチレン、コバルトクロム合金、生体軟骨などを用いて国際標準化機構（ISO）、アメリカ材料規格協会（ASTM）の規格に準じた摩擦・摩耗試験を行った。関節面の摩擦係数・摩擦トルクの計測、サンプルの重量変化などからPMPC処理表面の潤滑性・耐摩耗特性を評価した。2.潤滑性の向上を目指した新規摺動面形状の開発 1) 溝つき人工股関節表面の潤滑性の評価：24年度に引き続き、ポリエチレンライナーの表面の機械加工痕（マシンマーク）の深さが、PMPC処理による高潤滑能に与える影響について、摩擦摩耗試験による潤滑特性の評価を行った。 2) 陥凹部設計の因子が高潤滑能に与える効果の検討：24年度までに検討した「関節液を貯留し潤滑を促進する構造（関節窩構造)」を有する人工股関節摺動面について、本研究にて処理条件の最適化を行ったPMPC処理と組み合わせて摩耗試験を行い、摩耗抑制効果について検討した。以上の結果は、「高潤滑能をもつバイオミメティック人工股関節」の実用化へ向けた基礎検討を推進するための確信を得るに十分な結果であった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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