研究課題/領域番号 |
23390360
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
土屋 弘行 金沢大学, 医学系, 教授 (40227434)
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キーワード | 癌 / 蛍光イメージング |
研究概要 |
マウス肺転移のリアルタイムイメージングモデルでの血液凝固・線溶関連因子と転移のメカニズム解明について、昨年度までに転移能の異なる蛍光標識骨肉腫細胞143B-dualを作成した。in vivo継代で転移能の異なる細胞を作成し、継代の数が増すごとに転移能が上がっていくことを確認した。次年度は、ELISAやPCRで各cell lineにおける線溶関連因子の発現を確認していく。 既存抗がん剤の作用増強に関しては、カフェインがPhosphodiesteraseを抑制することによりcAMPを上昇させ、その結果PTENを活性化、Aktを不活性化することで抗腫瘍効果を示し、またcAMPがEpac(Exchange protein directl yactivated by cAMP)を介してPTENを活性化することを発見した。しかし、siRNAによりPTENをノックダウンしてもカフェインによるAkt抑制の減弱はわずかであった。このことから、カフェインがPTEN以外の経路にも作用していると考え、NF-KB、ERKへの作用についても評価した。ヒト骨肉腫細胞であるHOS細胞をカフェインまたはラパマイシンで刺激し、Western blottingを行ったところ、カフェイン、ラパマイシンはERKを抑制し、さらにカフェインはNF-kBも抑制することを確認できた。この結果から、カフェインはPTEN/Akt経路のみでなく、NF-kB、ERKを抑制することで抗腫瘍効果を示すことを明らかにした。 骨軟部悪性腫瘍の蛍光イメージング目的に、赤外線撮影カメラを購入した。インドシアニングリーンを用いて担癌マウスでの新生血管のイメージングが確認され、その観察深度、血管、リンパ管の描出情報を得たので、ヒトへの応用のため、骨軟部腫瘍患者での使用にIRB申請を行なった。次年度から臨床応用の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各実験ともに着実に実験結果がでると共に、次のステップへと進んでいる。マウス肺転移では、in vivoの転移モデルが確立されたので、その解析を残すのみである。抗がん剤を増強させる実験は、その経路が解析され、今後はノックダウンなどで更に証明を行なっていく。蛍光ナビゲーション手術に関しても動物実験は終了し、臨床応用に移行している。
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今後の研究の推進方策 |
がん治療のネックである、転移のメカニズム、抗がん剤治療の改良、腫瘍の可視化というポイントで研究を進行中である。それぞれの実験が次のステップへと進んでいる。可能な限り、臨床応用を考え、最終的に患者さんに還元できる方向で実験をすすめていくことを考えている。ナビゲーションは早急に臨床に使用を行う予定である。その他の研究も分子標的薬や診断方法、抗がん剤補助剤として治療にむすびつく方向で検討している。
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