研究概要 |
昨年度に樹立したヒト骨肉腫cell line 143B の、核にGFP・細胞質にRFPが発現した2色の蛍光を有する143B-dual、およびin vivoでの継代を繰り返すことで得られた転移能の異なるsub line 143B-LM1, 143B-LM2, 143B-LM3, 143B-LM4 を使用し実験を行った。 ELIZA法で各cell lineの培養液上清に分泌された線溶関連因子Plasminogen Activator Inhibitor-1(PAI-1)、urokinase-type plasminogen activator(u-PA)、Tissue Factor(TF)の濃度を測定した。その結果、転移能が上昇するにつれてPAI-1・u-PAの濃度が上昇していた。TFに関しては転移能と上清中の濃度に関して差は認めなかった。またRT-PCRで各cell lineにおける線溶因子のmRNA発現を調べたところ、同様の結果であった。 近赤外線を使用した骨軟部腫瘍イメージングは、倫理委員会承認の上、被験者3人で施行した。腫瘍周囲のリンパ管を中心に映像化され、手術手技との応用研究を行った。 これまでカフェインによる腫瘍細胞のアポトーシス誘導メカニズムを明らかにし、今年度は癌細胞の細胞周期を継時的に観察することにより、カフェインによる抗癌剤増強作用の機序について検討した。Fluorescent Ubiquitination-based Cell Cycle Indicatorを用いて各細胞の細胞周期を識別しながら癌細胞を継時的に観察した。シスプラチン・カフェイン併用刺激では細胞周期の停止は少ない傾向を示し、ほぼ全ての細胞がアポトーシスを誘導した。カフェインは抗がん剤による細胞周期の停止を阻害することにより抗癌剤の作用を増強させることが分かった。
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