研究分担者 |
名井 陽 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263261)
西本 憲弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80273663)
中村 憲正 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 招聘教授 (50273719)
前 達雄 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10569734)
北 圭介 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教 (30588869)
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研究概要 |
ヒト軟骨,骨,滑膜,半月板組織由来初代培養細胞と体性幹細胞から三次元培養組織を作成し,繰り返し力学刺激負荷下に培養を行い,培養組織内での遺伝子発現,蛋白発現,蛋白リン酸化,各種シグナル分子阻害剤添加による効果を解析することにより,以下の4点を明らかにする目的で研究を行った. 1)メカノトランスダクションとクロストークの解明 本培養システムにより,三次元組織内での細胞内メカノトランスダクションを解明するため,力学負荷下のCox2阻害剤,IL-1レセプターアンタゴニスト添加によるPGE2産生を測定し,力学負荷により誘導されるPGE2産生はCox2経路と,一部,IL-1シグナルの伝達経路を用いて誘導されていることが明らかになった. 2)力学応答の発現遺伝子(既知遺伝子)群のネットワーク解析 運動器細胞の力学刺激に応答する発現遺伝子群をバイオインフォマティックス手法によりネットワーク解析を行い,発現遺伝子を制御している隠された分子群を明らかにした.力学刺激で2倍以上の発現増を1761遺伝子でみとめ,BMP2,BMP4,BMP6,TGF-b2,Smad6が負荷量に応じた発現増を示した. 3)薬剤の力学応答での効果 関節疾患の既存薬を添加して力学刺激培養を行い,発現遺伝子,発現蛋白を解析した.NSAIDsである選択的Cox2阻害剤,および,非選択的Cox阻害剤,デキサメサゾンでは,力学負荷による上昇したPGE2蛋白発現を抑制し,ADAMTS4遺伝子発現を一部抑制した.また,関節疾患治療で用いられるビアルロン酸の添加では,ピアルロン酸分子量に一部異なる反応を示したが,100μg/ml以上の濃度で,PGE2産生低下,MMP3遺伝子発現抑制効果を示した.
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今後の研究の推進方策 |
ヒト運動器,関節組織由来の三次元力学刺激応答に関わる発現遺伝子の解析を,バイオインフォマティックスを用いて,力学負荷により発現の上昇,または,低下した発現遺伝子群のネットワーク解析からメカノトランスダクションに関わる分子群を明らかにする.また,力学刺激によるヒト滑膜細胞,半月板細胞,軟骨細胞での疼痛炎症関連分子であるPGE2産生のメカニズム,マトリックス分解酵素のMMPs,ADAMTSsの遺伝子発現のシグナル伝達につき,Il-1レセプターシグナル,MAPKシグナル,P38シグナルについ,阻害剤添加による抑制効果をしらべ,各シグナルトランスダクションのしくみを解明し,変形性関節症の病態,治療解明を進める.
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