研究課題/領域番号 |
23390363
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中田 研 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00283747)
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研究分担者 |
名井 陽 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263261)
前 達雄 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10569734)
北 圭介 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (30588869)
中村 憲正 大阪大学, 学内共同利用施設等, 教授 (50273719)
西本 憲弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80273663)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 運動器細胞 / 間葉系幹細胞 / 三次元培養 / 力学刺激 |
研究概要 |
ヒト運動器細胞である,軟骨,骨,滑膜,半月板組織からの初代培養細胞と間葉系細胞MC3T3から三次元培養組織を作成し,繰り返し力学刺激負荷下に培養を行い,培養組織内での遺伝子発現,蛋白発現,を解析し,以下の4点を明らかにした. 1)ヒト滑膜由来細胞の繰返し力学刺激負荷による炎症疼痛物質PGE2産生とマトリックス分解酵素発現に対するNSAIDs薬剤効果:三次元組織での力学負荷は,PGE2産生とマトリックス分解酵素の遺伝子発現を亢進し,NSIADsによりPGE2産生抑制とマトリックス分解酵素遺伝子発現の抑制が見られた. 2)ヒト滑膜由来細胞の繰返し力学刺激負荷による炎症疼痛物質PGE2産生とマトリックス分解酵素発現に対するヒアルロン酸の薬剤効果:変形性関節症治療薬であるヒアルロン酸は,ヒト滑膜細胞由来三次元培養組織に対する繰返し力学負荷によるPGE2産生には影響を与えず,マトリックス分解酵素の遺伝子発現には,ヒアルロン酸分子量による違いがみられた. 3)骨芽細胞分化に対する力学刺激とBMPシグナル制御:MC3T3による三次元培養組織に対し,BMP刺激下の繰返し力学刺激は,骨分化初期には分化の抑制的に働き,骨分化後期には分化促進的に作用した. 4)ヒト軟骨細胞による力学的強度のある三次元培養組織作成と力学刺激負荷:ヒト関節軟骨由来の細胞より,力学的強度のある三次元培養組織を作成し,繰返し力学刺激負荷を行ない,軟骨分化マーカーであるII型コラーゲン,アグリカン遺伝子発現が変化した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ヒト運動器組織からの細胞および間葉系幹細胞から三次元培養組織の作成と,三次元繰り返し力学負荷培養システムによる解析を,本研究の2年間で進めた. 三次元培養組織の力学負荷による遺伝子発現,蛋白発現の変化を解析し,特に,発現遺伝子の網羅的解析では,三次元力学刺激により,従来の平面培養での薬剤など化学的刺激とは遺伝子発現が質的,量的に異なること,また,力学刺激量により異なる新知見が得られ,これらの成果は,当初の計画以上である.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度である本年度に,今まで得られた成果をとりまとめて公表するとともに,さらに力学刺激による発現遺伝子,蛋白を解析し,そのシグナル伝達を利用することにより,本研究成果を,疾患の治療,予防,さらに,再生医療へと応用を探索する.
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