研究概要 |
アグリカナーゼ誘導性が確認されているヒト軟骨肉腫由来細胞株(OUMS-27)をサイトカイン(IL-1β、TNFα(各10ng/mL))で下記に示す各時間、刺激を加えた後でリアルタイムPCR法によりmRNA発現を評価した。次にメカニカルストレス刺激による影響を検討した。培養細胞伸展システムを用いて、OUMS-27にさまざまな伸展刺激を加え、転写因子の発現変化を解析した。さらに、ラットOAモデルを作成し、経時的に膝を摘出してアグリカンの分解を検討した。 【結果】転写因子を、刺激後0, 3, 6, 12, 24, 48時間で経時的に検討した。低酸素状況下で働く転写因子であるHIF-2がサイトカイン刺激6時間で刺激前に比べて約4.5倍にmRNAが上昇した。一方、同じく低酸素で働く代表的な転写因子であるHIF-1は3,6,12,24,48時間のいずれでも大きな変動はなく、両者はことなる動態を取ることが明らかとなった。メカニカルストレスでは、単独で10%伸長、0.5Hzの刺激においては、HIF-1, HIF-2とも大きな変動は示さなかった。そこで、次にサイトカイン刺激にメカニカルストレスを上乗せした場合の発現変化について調べた。メカニカルストレスを1.5時間上乗せしたところ、HIF-1, HIF-2ともに、メカニカルストレス追加群で上昇していた。 次に、miR-140の発現変動を検討した。我々の実験系においては、上記サイトカイン刺激によってmiR-140のmRNAは刺激開始1時間後におよそ0.7倍に減少、その後3,6時間でほぼ正常レベルに復し、以後12, 24時間と徐々にmiR-140のmRNAは上昇傾向になることが明らかとなった。 ラットOAモデルにおいて、2、4、6週と経時的に、OASC組織を摘出し、サフラニン-O染色を行ったところ、染色域の減少を認め、軟骨破壊が確認された。
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