研究課題/領域番号 |
23390372
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所) |
研究代表者 |
伊藤 和幸 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 研究所, 部長 (20301806)
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研究分担者 |
吉岡 潔子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 研究所, 研究員 (40342993)
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キーワード | 骨軟部腫瘍 / 幹細胞 / 分子標的治療 / 転移 |
研究概要 |
現在、既に倫理委員会で承認されているprotocolに従い、患者検体より種々の骨軟部腫瘍細胞株を樹立し、幹細胞としての性質を調べている。現在までnude miceに移植可能な骨軟部腫瘍細胞株を8種樹立しており、さらに樹立をめざす。樹立した細胞株には幹細胞性を有するものが多く、幹細胞に特異的に発現する遺伝子(Oct3/4,Nanog,SOX2,KLF4)、融合遺伝子(滑膜肉腫の場合SS18-SSX)、以前より悪性化(浸潤・転移)に関与する標的分子として研究を行っている。SSXの幹細胞性や分化等に与える影響に関して、siRNA-basedのin vitro,in vivoの抑制実験を行い、検討する。得られた結果より、骨軟部腫瘍幹細胞の標的として、最適な分子の絞り込みを行い、低分子、抗体、siRNA-liposome等を用いた分子標的治療の開発を(製薬企業と共同で)行う。下記のメンバーに阪大整形外科大学院生2名(田中、若松)を加えたチームで研究を遂行しており、定期的に毎月全体meetingを行っている。 連携研究者吉川秀樹(大阪大学医学部整形外科教授)-全体のまとめ、臨床応用、大学院生数名の派遣 研究協力者笹川覚(当部門研究員)-生物学的な解析 中紀文(大阪大学医学部整形外科講師、当部門特別研究員)-細胞株の樹立 城山晋(病院整形外科医長)-臨床情報、細胞株の樹立 荒木信人(病院整形外科部長)-臨床情報、細胞株の樹立 上田孝文(大阪医療センター整形外科部長)-臨床情報、細胞株の樹立
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病院整形外科からの臨床材料からの細胞株の培養は順調に行っており、免疫不全マウス(ヌードマウス)へ移植可能な細胞株が複数樹立されてきている。従って材料は十分揃ってきた。 これらの細胞株は融合遺伝子を有していると共に、非常に幹細胞性が強く、幹細胞性の維持に関与する種々の遺伝子・蛋白の発現を示すと共に、多種類の成長因子を発現、分泌している。今年度の実験結果より、とりわけその中で血管新生因子(VEGF)の分泌が、sarcosphereと呼ばれるspheroid形成と3次元増殖に重要であることが判明した。VEGF阻害作用を有する低分子化合物(Pazopanib)はヌードマウス移植種腫瘍の増殖抑制と共に、3次元培養下での腫瘍増大を効果的に抑制した。
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今後の研究の推進方策 |
11に記載したように、強い幹細胞性を有する骨軟部腫瘍株の3次元増殖に、VEGFが非常に重要な役割を演じていることが判明したので、今後その生物学的な作用メカニズムの解明と共に、動物実験を繰り返し行い、分子標的治療法への可能性を探る。又、骨軟部腫瘍の予後を規定する肺転移に関する種々因子の役割に関して、in vitro, in vivoにおける詳細な検討を行う。さらに、最近Spheroid形成、維持に重要であることが、乳がん等で報告されているHeregulin等の他の増殖因子や、幹細胞性の維持に関与するnanog,Oct3/4等の遺伝子の転移に関する役割に関して検討を行う予定にしている。
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