脳幹から脊髄に投射するノルアドレナリン・セロトニン下行性抑制系は内因性鎮痛系の中でも極めて重要な経路である。神経障害性疼痛時には下行性抑制系の機能は大きく変化する。神経損傷が起きると脊髄のα2受容体は、刺激されることによって鎮痛作用を持つアセチルコリンを放出するようになるため、脊髄でノルアドレナリンを増やす作用のある抗うつ薬は神経障害性疼痛を強く抑制する。一方、モルヒネのようなオピオイドはセロトニン下行性抑制系を活性化する。脊髄で増えたセロトニンは5-HT3受容体を介して神経障害性疼痛を強めるため、オピオイドの効果は急性痛には強い鎮痛作用を発揮するが、神経障害性疼痛には作用が減弱する。
|