研究概要 |
骨がん疼痛での扁桃体-下行性疼痛調節系の役割を解明する研究を進めるために,疼痛評価系および負の情動評価系を確立することを目的とした.マウス骨がん疼痛モデルはMantyhらの方法(Schwei, J Neurosci 1999)に従い,osteosacoma cellをC3H/HeJマウスの左大腿骨に移植し作成した.骨髄内での腫瘍の増殖は小動物用MRIで確認するとともに,組織化学的に(HE染色)確認した.疼痛評価は,自発疼痛関連行動,動作時疼痛関連行動評価を行った.自発疼痛関連行動は足舐め行動,足振り行動に費やす時間で評価した.動作時疼痛関連行動は,自発的歩行時の患側下肢の使用状況や自発立位時の患側下肢への加重の程度を評価するとともに,Catwalkによって自由運動時の下肢使状況を評価した.Catwalkによる評価は従来の評価法である歩行時の下肢使用スコア,患肢への加重スコアの掲示変化とよく相関した.最近,マウスから発せられる特定の周波数の超音波が痛みや負の情動に関連していることが報告された.そこで,超音波測定・解析システム(Sonotrack^<TM>)を用いて超音波解析し疼痛評価を行った.しかしながら,現在のところ,超音波を検出するに至っていない. 組織化学的解析ではマウス骨がん疼痛モデルで疼痛スコアの上昇ともに扁桃体でc-fosとリン酸化MAPキナーゼ発現が増加することが明らかとなった.これらは,骨がんによる痛み依存性に扁桃体神経が活性化されることを示す.
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