研究課題
骨がん疼痛での下行性疼痛調節系の役割りを解明するために、平成24年度は薬理学的検討、免疫組織学的検討、行動学的検討を行った。osteosacoma cell移植前に、C3H/HeJマウスの扁桃体中心核外側外包部周辺に薬物投与用のマイクロインジェクションカニューレを慢性留置した。留置後、Mantyhらの方法(Schwei, J Neurosci 1999)に従い、osteosacoma cellを左大腿骨に移植し、骨がん疼痛モデルマウスを作成した。疼痛評価は、自発疼痛関連行動、動作時疼痛関連行動評価を行った。自発疼痛関連行動は足舐め行動、足振り行動に費やす時間を測定し、動作時疼痛関連行動は自発的歩行時の患側下肢の使用状況を点数化することによって評価した。モデルマウス作製2週間後に、疼痛評価して、モデルが完成している事を確認した。その後、マイクロインジェクションカニューレよりAMPA型グルタミン酸受容体拮抗薬CNQX、NMDA型グルタミン酸受容体拮抗薬MK801を投与したが、自発痛関連行動および動作時痛関連行動に変化はなかった。扁桃体はその線維を下行性疼痛調節系の起始部である延髄吻側腹内側部(Rostroventromedial medulla: RVM)に投射し下行性疼痛調節系を制御する。そこで、RVMでのc-fosやリン酸化MAPキナーゼの発現変化を調べたが、扁桃体へのCNQXやMK801投与によって、その発現は変化しなかった。
3: やや遅れている
行動研究と免疫組織化学的研究は順調に進展しているが、電気生理学的解析が難航している。これまでに、手技は確立していたが、本研究ではなかなかうまくいかず、データの蓄積が進んでいない。
薬学的行動研究と、免疫組織化学的研究は予定通り進める。電気生理学的研究では、RVMの記録が難航しているため、下行性疼痛調節系のもう一つの起始部である青班核での記録も行なう。
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