研究課題/領域番号 |
23390378
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
鈴木 和浩 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80312891)
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研究分担者 |
伊藤 一人 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00302472)
関根 芳岳 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00516370)
松井 博 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 講師 (40450374)
小池 秀和 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90420091)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / 脂質代謝 |
研究概要 |
前立腺癌における脂質代謝との関係を、低アンドロゲン環境で増殖可能なLNCAP細胞(LNCAP-LA)を使用してヒト前立腺癌の去勢抵抗性前立腺癌の状況を再現する目的で使用し、スタチンとの関係などから検討した。まず、通常の前立腺癌細胞であるLNCAP細胞・PC-3細胞ではスタチンはLNCAPは感受性が引く、PC-3細胞で感受性が高い。この点は細胞に発現しているLDL受容体の発現が関係していることを報告しているが、さらに、今回細胞内のコレステロール濃度の変化を詳細に検討し、感受性の高いPC-3細胞は実際にコレステロールが低下するものの、LNCAP細胞では低下しないことが判明した。LDL受容体―コレステロール濃度と一連のイベントが増殖に関係していることが分かった。 次に、LNCAP-LA細胞のプロフィールをスタチンで誘導および抑制される遺伝子群の変化をcDNAマイクロアレーでスクリーニングした。その結果、LOX(lsyl oxidase), ANXA10などの遺伝子発現が高発現することが判明した。次年度の研究でターゲットとする分子同定ができたため、継続を今後予定している。 最後に、脂質代謝と関連のあるメトフォルミンの前立腺癌への影響を細胞を使用した実験で検討した。メトフォルミンは細胞増殖を濃度依存性に抑制することが判明し、さらに遊走能の低下も確認した。さらにそのメカニズムを検討するための基礎データがそろった状態である。メトフォルミンはIGFおよびその受容体と密接に関連しており、プレリミナリーなデータではIGF-Rを抑制している傾向を見いだした。今後、確認実験につなげる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H24までにSREBP-2の遺伝子多型と前立腺癌リスクとの関連を評価する予定であったが、解析症例が足らないため、H25に継続して解析を進めていく予定である。スタチンと前立腺癌については、アンドロゲン低濃度環境で生育可能なLNCAPーLA細胞を用いた研究がcDNAマイクロアレー解析も済み、順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
H25年は本課題の最終年度であるため、前立腺癌と脂質代謝の関連を、スタチンとの関連では、LDL受容体および細胞内コレステロール濃度の変化を最終的に証明する。また、スタチンによって変化する遺伝子群から標的分子を絞り、前立腺癌へのターゲットとすべく、機能解析を進める予定である。さらに、SREBP-2の遺伝子多型とリスクとの関連も症例を増やして解析し、散発性・家族性前立腺癌リスクとの関連を証明する。
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