研究課題/領域番号 |
23390382
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
公文 裕巳 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30144760)
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研究分担者 |
許 南浩 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70142023)
渡部 昌実 岡山大学, 岡山大学病院, 准教授 (70444677)
阪口 政清 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70379840)
賀来 春紀 岡山大学, 岡山大学病院, 講師 (60346426)
植木 英雄 岡山大学, 医学部, 技術職員 (90537218)
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キーワード | 遺伝子治療 / 癌ワクチン / 前立腺癌 / REIC/Dkk3 |
研究概要 |
REIC/Dkk-3遺伝子治療による次世代癌ワクチン化療法の免疫学的基盤を構築するために、本年度は、REICタンパク質が生体内において骨髄系免疫抑制細胞(MDSC:myeloid-derived suppresser cell)の分化にどのように関わるかを中心に解析を行った。具体的には、REICタンパク質投与によるMDSCの分化抑制に基づく抗癌免疫活性化の機序の解明のため、腎細胞癌マウスモデルをリコンビナント精製REICタンパク質で腹腔内投与により治療するin vivo実験を行った。結果として、REICタンパク質投与群の坦癌マウスにおいては、コントロール群と比べて有意な腫瘍増殖抑制効果が確認された。さらに、これらのマウスから採取された血液での各種免疫担当細胞(MDSC、樹状細胞、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラー細胞等)の出現頻度をフローサイトメトリーで解析した。結果、REICタンパク質投与群の坦癌マウスにおいては、抗癌免疫の活性を抑制するとされるMDSCの血中への出現頻度が有意に低下していた。一方、抗癌免疫の活性化に重要とされる樹状細胞、細胞傷害性T細胞については、REICタンパク質投与群において、血中への出現頻度の有意な上昇を確認した。これらの免疫担当細胞の血中への出現率の変化は、マウス生体内へのREICタンパク質投与により誘導されたものと推察される。今後も引き続き、REICタンパク質によるこれら免疫担当細胞の分化誘導の機序について解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、坦癌マウスにおいてREICタンパク質を投与することにより抗腫瘍効果が認められ、また血中への骨髄系免疫抑制細胞(MDSC:myeloid-derived suppresser cell)の出現が抑制されることが明らかとなった。生体内でREICタンパク質がMDSCの分化を抑制している可能性が示唆される所見であり、研究は当初の予定通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
REICタンパク質が、生体内において骨髄系免疫抑制細胞(MDSC:myeloid-derived suppresser cell)の分化を強力に抑制することが明らかとなったことから、本申請研究では引き続き、REIC/Dkk-3遺伝子治療を生体内における抗癌免疫の制御と活性化の両面から系統的に解析し、自己癌ワクチン化療法としての免疫学的基盤の確立を目指す。
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