研究課題/領域番号 |
23390382
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
公文 裕巳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30144760)
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研究分担者 |
許 南浩 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70142023)
阪口 政清 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70379840)
渡部 昌実 岡山大学, 大学病院, 准教授 (70444677)
賀来 春紀 岡山大学, 大学病院, 講師 (60346426)
植木 英雄 岡山大学, 医学部, 技術専門職員 (90537218)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 遺伝子治療 / 癌ワクチン / 骨髄系免疫抑制細胞 / REIC/Dkk3 / 細胞傷害性Tリンパ球 |
研究概要 |
REIC/Dkk-3遺伝子治療による次世代癌ワクチン化療法の免疫学的基盤を構築するために、本年度は、REICノックアウト(KO)マウスを用いてREICタンパク質が生体内において骨髄系免疫抑制細胞(MDSC: myeloid-derived suppresser cell)の分化にどのように関わるかを解析した。結果として、担癌のREIC KOマウスにおいては、対照となる担癌の野生型(WT)マウスに比べて、血液中の循環MDSC細胞の出現頻度が有意に増加していた。興味深いことに、MDSC細胞により負に制御される樹状細胞や細胞傷害性Tリンパ球(CTL)等の抗癌免疫担当細胞については、担癌REIC KOマウスにおいて出現頻度が抑制されていた。すなわち腫瘍が増殖しつつある担癌マウスでは、REICタンパク質の生理学的な作用により、MDSCが分化抑制の方向で制御されていることが明らかになった。さらにREICタンパク質による生体内での抗癌免疫活性化の機序を解明するため、癌抗原としてのタンパク質マーカーを発現する癌細胞を移植した担癌マウスモデル実験系を樹立し、Ad-REIC剤の腫瘍内投与による癌ワクチン化療法の免疫学的な解析を実施した。Ad-REIC剤投与群の担癌マウスにおいては、コントロール群と比べて有意な腫瘍増殖抑制効果が認められ、さらに当該癌抗原に特異的なCTL細胞の出現が治療部位である腫瘍内において確認された。これらの結果は、Ad-REIC剤投与により発現したREICタンパク質によるMDSCの分化抑制作用により、各種の担癌マウスにおいてMDSCの血中および腫瘍内での出現が抑制される可能性を示唆している。今後も引き続き、REIC/Dkk-3遺伝子治療による自己癌ワクチン化療法の免疫学的機序を、MDSCを含む各種免疫担当細胞の分化誘導の観点から解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、担癌のREICノックアウト(KO)マウスにおいて、血中の骨髄系免疫抑制細胞(MDSC)の出現が有意に増強されていることが明らかとなった。生体内での生理的なREICタンパク質がMDSCの分化を抑制している可能性が改めて示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、REICタンパク質が生体内において骨髄系免疫抑制細胞(MDSC)の分化を強力に抑制することが明らかとなった。本申請研究では、今後、独自に開発した癌抗原発現担癌マウスモデルを用いて、MDSCと癌抗原特異的CTLの両細胞の誘導の観点からの研究を実施することにより、自己癌ワクチン化療法としてのREIC/Dkk-3遺伝子治療の免疫学的基盤の確立を目指す。
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