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2012 年度 実績報告書

アンドロゲン受容体新規転写共役抑制因子を介した精巣腫瘍発生の分子機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23390384
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

三木 恒治  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10243239)

研究分担者 河内 明宏  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90240952)
中村 晃和  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10381964)
本郷 文弥  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80291798)
上田 崇  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50601598)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワード精巣腫瘍 / ZNF288 / TSPY / TSPYL5 / セミノーマ / DNMT3B / HDAC2
研究概要

アンドロゲンレセプター(AR)の転写抑制メカニズムを解明する目的でZNF288結合因子複合体の取得を試みた。具体的には293F細胞でFlag-ZNF288安定細胞株を作成し、FlagレジンよるIP産物をSDS-PAGEに展開し、銀染色を行いZnf288と結合する蛋白質の存在を確認した。そして得られた蛋白質のバンドは個別に切り出したのちトリプシン消化を行い、最終的にMALDI TOF-MS分析にかけることで蛋白質を同定を試みた。その結果DNMT3Bに加え、HDAC2、Sin3Aを新規結合因子として同定した。さらにZNF288を含む複合体をグリセロールデンシティグラジエント(GDG)を用いて分画後にウェスタンブロットを行い、それらが複合体を形成していることを確認した。Flag-ZNF288のIP産物を用いたHDACアッセイ、メチル化アッセイの結果、ZNF288転写抑制因子複合体はHDAC2、DNMT3Bのリクルートを介してARの転写を抑制することが判明した。またウェスタンブロットによりNEC8細胞においてもZNF288はHDAC2、DNMT3Bと結合することが判明した。以上からZNF288は精巣腫瘍細胞においてHDAC2、DNMT3Bのリクルートを介してARの転写を抑制することが示唆された。
ARの作用の低下は精巣腫瘍、なかでもセミノーマの発生につながると推測されている。そこでセミノーマ細胞株TCam-2にアンドロゲン投与を行った所、細胞増殖が抑制されることがcolony formation assayの結果判明した。TCam-2細胞におけるARの標的遺伝子の探索をマイクロアレイ解析で行い、候補遺伝子としてTSPYL5を同定した。さらに精巣腫瘍患者検体を用いた発現解析の結果、正常部位と比較して癌部位でTSPYL5の発現が低いことが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

用いる細胞株をNEC8(ノンセミノーマ)からTCam-2(セミノーマ)に変更し、すべての実験系を再施行した。その理由としてはアンドロゲン投与によってNEC8は増殖が亢進するのに対し、TCam-2は増殖抑制される事が挙げられる。さらに我々は精巣特異的に発現しARの転写抑制因子として作用するTSPYの発現解析を患者検体を用いて行い、セミノーマとノンセミノーマで比較するとセミノーマでTSPYの発現が高いことを報告しているが(Akimoto, C., Ueda, T., Inoue, K., Yamaoka, I., Sakari, M., Obara, W., Fujioka, T., Nagahara, A., Nonomura, N., Tsutsumi, S., Aburatani, H., Miki, T., Matsumoto, T., Kitagawa, H., and Kato, S. (2010) Proc Natl Acad Sci U S A 107, 19891-19896)、NEC8と比較してTCam-2でTSPYが高発現していることもTCam-2で実験をやり直す理由である。疫学的にアンドロゲン作用の低下による発生増加が推測されているのはセミノーマであり、今後は精製を含めた実験もTCam-2を用いて行う予定である。

今後の研究の推進方策

①セミノーマ細胞株におけるZNF288の機能解析:これまでの結果がすべてTCam-2でも観察できるか再現性を得る
②セミノーマ細胞株におけるAR標的遺伝子の探索、TSPYL5の機能解析:TCam-2にアンドロゲンを投与しマイクロアレイ解析を行った結果TSPYL5を同定した。TSPYL5は癌抑制遺伝子として作用するという報告があり、TSPYL5のセミノーマにおける機能を解析する。
③モデルマウスを用いたセミノーマ細胞におけるARの機能解析:TCam-2は免疫不全マウスに
生着することが知られている。TCam-2移植マウスに除睾術を行い、コントロールと比較して腫瘍の増大速度、転移等を観察する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] アンドロゲン受容体転写抑制による精巣腫瘍発生分子機構の解析

    • 著者名/発表者名
      中河秀生、上田崇、上田紗弥、大石正勝、中村晃和、納谷佳男、本郷文弥、河内明宏、三木恒治
    • 学会等名
      第101回日本泌尿器科学会総会
    • 発表場所
      札幌
  • [学会発表] アンドロゲン受容体転写抑制因子を介した精巣腫瘍発生の分子機構の解析

    • 著者名/発表者名
      上田 崇、上田紗弥、木村泰典、中村晃和、本郷文弥、三神一哉、高羽夏樹、河内明宏、武山健一、三木恒治
    • 学会等名
      第100回日本泌尿器科学会総会
    • 発表場所
      横浜
  • [学会発表] 精巣腫瘍におけるTSPYを介したAR転写抑制機構

    • 著者名/発表者名
      上田 崇、秋元千央、伊藤紗弥、木 村泰典、中村晃和、納谷佳男、本郷文弥、高羽夏樹、三木恒治
    • 学会等名
      第71回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      札幌

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公開日: 2014-07-24  

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