研究課題
最近、我が国の晩婚化、少子化の社会情勢と、医療技術の進歩により、既婚者の15-20%が不妊治療を受けている。その40%は男性不妊(精子異常)が原因で、男性不妊症の頻度は、漸増傾向を示している。以前より、エストロゲン様作用を有する環境由来化学物質がヒトの性腺(生殖細胞)に影響を及ぼし、オスのメス化、精子数減少に影響を与えることが指摘されていたが、その関連性については、十分な科学的根拠がないため、未だ明らかにされていない。一方、化学物質暴露の影響評価には、エピジェネティックな修飾の変異が、その指標として注目されている。本研究では、不妊症患者精子を用い、網羅的にメチル化インプリントの解析を行ない、異常の頻度・程度・影響を受けやすい遺伝子を検索することを目的としている。これまでに、ヒト男性精子197検体(乏精子症59例)について、網羅的かつ正確なメチル化解析を行い、その異常の頻度、程度、影響を受けやすい領域を明らかにした。同時に精液所見との関連性を明らかにし、精子形成過程における成熟能がメチル化を深く関わる事を示した。本年度は、異常のパターン分類により、DNAメチル化異常の発症メカニズムについて、環境因子との関連について検討した。メチル化インプリント異常と精子所見、生活習慣について、共分散構造分析を行った。メチル化異常を説明する変数としてH19およびGNAS1Aを選択した。メチル化異常と精子濃度の間には有意な関連性は認められた。年齢が上がると精子濃度が減少すると考えられた。喫煙に着目すると、教育歴が高い場合に喫煙している人の割合は少なく、喫煙をしている場合に精子濃度が減少することが示された。ところが、喫煙の有無はメチル化異常には影響を及ぼさない可能性が示された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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