研究課題
(1)マウス実験において、父親抗原特異的制御性T細胞(PA-Treg)を同定する系を確立した。アロ妊娠ではKi67+PA-Tregが着床1日前の子宮領域リンパ節で増加し、着床1日後から子宮で増加し、妊娠11.5日ではTreg中でのPA-Treg細胞率が20%を超えた。しかし、resting PA-Treg(Ki67-PA-Treg)は変化せず、脾臓や表在性リンパ節ではKi67+PA-Treg細胞率に変化はなかった。同系マウスでも変化はなかった。(2)精嚢除去(精漿欠損)、精管結紮(精子欠損)雄マウスを作製して、アロ交配したところ、精管結紮マウスでは着床1日前に子宮領域リンパ節にKi67+PA-Tregの増加を認めたが、精嚢除去マウスでは変化せず、また着床率の低下も認めた。また、精漿のプライミングにより子宮内でtolerogenic DCが増加することを見出した。(3)ヒト流産において胎児染色体正常例(正常流産群)と異常例(異常流産群)で比較したところ、正常流産群でのみ機能的 Tregが減少し、effector T(Teff)が増加していた。一方、異常流産群では、正常妊娠例と差がなく、免疫学的な差異がなかった。これはヒト胎児染色体正常流産において、トレランスの破綻が起こっている事を初めて示すものである。また妊娠高血圧腎症においても、末梢血中の機能的Tregが減少している事を初めて証明した。(4)胎盤由来microRNA(miRNA)をスクリーニングし、miR-517a-3pが末梢血NK細胞に含まれ、PRKG1の発現を抑制すること、分娩後はこのような現象が認められなくなることを示した。その他、胎盤由来の69のmiRNAが末梢血NK細胞中に含まれ、NK細胞の活性化、細胞傷害性を抑制している可能性を示した。すなわち胎盤と母体リンパ球のmiRNAを介した免疫調節機構を初めて証明した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (18件) (うち招待講演 16件)
J Reprod Immunol.
巻: 107 ページ: 10-19
10.1016/j.jri.2014.09.053
巻: 108 ページ: 78-82
10.1016/j.jri.2015.02.005.
Int J Mol Med.
巻: 35 ページ: 1511-1524
10.3892/ijmm.2015.2157
J Reprod Immunol
巻: 101-102 ページ: 80-88
10.1016/j.jri.2013.06.002.
PLoS ONE
巻: 9 ページ: e111374
10.1371/journal.pone.0111374
Biol Reprod
巻: 91 ページ: 129
10.1095/biolreprod.114.121616