研究概要 |
妊娠,非妊娠ICRマウスでCAR ligand(1,4-bis[2-(3,5-dichloropyridyloxy)]benzene;TCPOBOP)投与群,非投与群に分けて糖負荷試験,HOMA-IR,インスリン負荷試験,糖新生・脂質合成律速酵素の発現の変化を検討した。次にHepG2細胞を用いてTCPOBOPのCARを介した転写や律速酵素発現への影響やTCPOBOP存在下でのCAR結合配列への核内受容体coactivatorや糖新生促進転写因子の集積について検討した。また妊娠中同様の高性ステロイドホルモン状態のIRやCARを介したシグナリングへの影響を調べた。更にCAR活性化の高脂肪食飼育妊娠マウスへの有用性について検討した。妊娠マウスでは糖新生・脂質合成律速酵素発現の増加とIR亢進を認め,TCPOBOP投与により非妊娠マウスのレベルまで抑制した。In vitro実験ではTCPOBOPはCARを介した転写を誘導したが律速酵素の発現を抑制した。この効果はCAR発現抑制により消失した。またligandの存在下でCAR結合配列に糖新生促進転写因子の集積を認め,このことが糖新生抑制につながっている可能性が示された。妊娠中同様の高性ステロイドホルモン状態導入は非妊娠マウスのIRを惹起し,in vitroではCARを介した転写を抑制し律速酵素の発現を増加,CAR結合配列への糖新生促進転写因子の集積を抑制した。更にCARの活性化は高脂肪食飼育妊娠マウスの糖・脂質代謝を改善し血圧、蛋白尿の症状を改善した。以上よりCARは妊娠中のIRに関与しており,妊娠中の高ステロイドホルモン血症がCARシグナリングを抑制しIRを惹起している可能性が示された。 TCPOBOP投与により妊娠マウスのIRが改善し症状改善していることから,CARは治療標的となりうると思われた。 子宮体癌細胞株の6種類(Ishiksawa、HEC-50B、HBC-251、KLE、HEC-1A、RL95-2)を用いて、CD26の発現量を測定すると6種類の蛋白、RNAいずれも高発現していた。そとでCD26は子宮体癌の癌抑制分子標的遺伝子として、抑制できる否かSiRNAを用いて、検討すると、6種類いずれも抑制可能で、特にKLE、HEC-1A、RL95-2の3種類の細胞株で著明に抑制し、その作用として、アポトーシスと関連することを突き止めた。今後、より癌抑制作用機序についての解明を行い、マウスを用いての実験も予定しており、子宮体癌においてCD26が一石を投じる新たな分子標的療法になればと思い、研究を継続している。 インスリン抵抗性との関連が知られる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)女性における、正常女性との末梢微小循環の差異を検討するため、リストアップした患者のデータをカルテより抽出した。さらにこれらの患者に対して、TAS9((株)まるお)を用いて末梢血管抵抗を測定した。
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