研究課題/領域番号 |
23390392
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加藤 聖子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10253527)
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研究分担者 |
竹澤 俊明 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (50301297)
加藤 和則 東洋大学, 理工学部, 教授 (60233780)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 子宮体癌 / 癌幹細胞 / 子宮内膜 |
研究概要 |
正常組織幹細胞と発癌機構の関連は不明である。我々はHoechst33342の取り込みの低い分画の細胞(side population cells, SP細胞)を用いてヒト正常子宮内膜や子宮体癌細胞株のSP細胞が幹細胞の特性をもつことを報告してきた。本年度ではラット不死化子宮内膜細胞株(RENT4細胞) を用い、内膜SP細胞の癌化機構への関与を検討した。 まず、RENT4細胞よりSP、nonSP細胞を分離し(RSP、RNSP)、活性化型[12Val]K-Rasを形質導入し、それぞれの細胞由来の癌細胞のモデルとした(RSP-K12V、RNSP-K12V)。それぞれの細胞から形成された腫瘍より初代培養細胞を分離した。これらの細胞の増殖能、造腫瘍能、SP出現率、各種蛋白発現(ER,Oct4,Myc)およびER転写能を解析した。 結果は、1)RSP-K12V細胞はRNSP-K12V細胞に比較し増殖能、造腫瘍能の亢進、SP出現率の増加をみとめた。2)RSP-K12V由来腫瘍細胞は長期増殖能、造腫瘍能を獲得したが、RNSP-K12V由来腫瘍細胞は腫瘍を形成しなかった。3)RSP-K12V細胞およびそれ由来腫瘍細胞はRNSP-K12V 細胞およびそれ由来腫瘍細胞に比べ、ER、Oct4、Mycの発現、SP出現率およびER転写能の亢進をみとめた。4)RSP-K12V細胞はE2依存性増殖を示したが、RSP-K12V細胞由来腫瘍細胞はE2非依存性の増殖を示した。 以上よりSP細胞由来の癌細胞とNSP細胞由来の癌細胞は生物学的特性に違いがあり、前者は悪性度が高く、子宮内膜SP細胞は、子宮体癌の発生に関与すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子宮内膜の癌化への関与を明らかにするという研究目的に対して SP細胞由来の癌細胞とNSP細胞由来の癌細胞は生物学的特性に違いがあり、前者は悪性度が高く、子宮内膜SP細胞は、子宮体癌の発生に関与することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
1.癌幹細胞の性質に深く関与するEMTを抑制する薬剤の効果を検討する。 2.幹細胞の維持・増殖に必要なシグナルを同定する。
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