研究課題
我々は様々な組織で幹細胞として機能していると報告されているSide population細胞(SP細胞)を用いて子宮体癌幹細胞の研究を行っている。子宮体癌SP細胞は、未分化、自己複製能、少なくとも腫瘍細胞と間質細胞への2方向性分化能、造腫瘍能亢進を示し、癌幹細胞の特性を持つことを明らにした。更に、この子宮体癌SP細胞の形態を観察すると足突起を持ち、著明な運動能を持つこと示した。SP細胞は既存の抗がん剤に対して抵抗性を持ち、新規薬剤の開発が必要である。標的分子を探索するため、マイクロアレイで解析したところ、SP細胞においてNSP細胞に比べて増殖因子やサイトカインを含む多くの遺伝子の発現が亢進しており、子宮体癌幹細胞の増殖や維持には複数の因子やシグナルが関与していることが示唆された。よって、がん幹細胞を標的にした治療のためには、複数のシグナルを阻害する必要があると考えられる。パスウエイ解析にて、SP細胞ではEMTに関与するシグナル伝達経路を構成する遺伝子群の発現が亢進していた。本研究ではEMT阻害剤として報告されているsalinomycinのSP細胞に対する効果を解析した。salinomycinはSP細胞においてアポトーシスを誘導し、Wntシグナルを抑制することにより、細胞増殖を抑制した。また、運動能、浸潤能やマウス皮下への腫瘍形成も抑制し、子宮体癌幹細胞を標的とした治療薬の候補となることが示された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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