研究課題/領域番号 |
23390393
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山岨 達也 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60251302)
|
研究分担者 |
岩崎 真一 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10359606)
吉川 弥生 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医 (00452350)
坂本 幸士 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50323548)
樫尾 明憲 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20451809)
安井 拓也 帝京大学, 医学部附属病院, 助教 (50511466)
|
キーワード | 老化 / 蝸牛 / ミトコンドリア / 酸化ストレス |
研究概要 |
研究は大きく、遺伝子改変マウスを用いた実験と、サプリメント等食餌療法の効果を調べる実験に分かれた。解析は1)ABRを用いた機能解析、2)光顕・免疫染色による組織観察、3)DNA microarray、Quantitative PCR法による遺伝子解析を行った。まずGlutathione Reductaseのノックアウトマウスを用い、Glutathione Reductaseの老人性難聴の影響について解析を開始した。野生型およびKOマウスを通常食摂取群と2カ月齢からのカロリー摂取制限群に分けて飼育し、定期的にABRを計測した。2カ月齢では野生型、KOマウス群にABR閾値の差や組織は差は無く、蝸牛の発生・発達にGlutathione Reductase欠損の影響は無いことが判明した。現在までカロリー制限による老人性難聴の抑制効果は野生型で認められているが、KOマウスでは明らかではなく、さらに経過を追っている。MnSODのKOマウスは胎生致死のため、ヘテロマウスを用いてMnSODの減少が老人性難聴の悪化に関与するか検討した。その結果、ヘテロと野生型のABR閾値の加齢による変化には差がなく、また15カ月齢での血管条、有毛細胞、ラセン神経節細胞の変性も差がなかった。従って蝸牛のMnSODが半分に減っても、老人性難聴の加速は起きないことが判明した。7つのstrainのマウス(129sv, BALB/c, CBA, DBA, C57BL/6, C3H, B6C3F)を通常食摂取とカロリー制限に分け、2カ月と15カ月で蝸牛を採取し、蝸牛内の遺伝子発現をDNAマイクロアレイにより調べた。データが膨大であるため、現在解析中である。遺伝外因子の検討では、KK-Avマウス、apoE KOマウスを通常食群、カロリー制限群、高脂肪食群に分けて聴力経過観察を開始した。通常食、高脂肪食群ではさらにシンバスタチン、プロブコール、サプリメント(CoQ10)による予防効果も検討している途中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子改変マウスについては、すでにSirt3の結果が出たため、新たにMnSODのヘテロとGlutathione Reductaseノックアウトマウスの解析を開始し、前者は解析を終了できており、後者も差が出てきており、成果が期待できる。また異なるstrainについてもデータを得ており、解析が順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
申請した研究計画に大きな変更は無いが、新たに糖化新生およびautophagyの関与について、研究を追加して行う。これに伴う研究計画の変化は研究全体に大きな影響は無く、研究遂行に特別な支障はない。
|