研究課題/領域番号 |
23390397
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
藤枝 重治 福井大学, 医学部, 教授 (30238539)
|
研究分担者 |
野口 恵美子 筑波大学, 医学(系)研究科, 准教授 (40344882)
坂下 雅文 福井大学, 医学部附属病院, 助教 (40555455)
|
キーワード | ORMDL3 / IL-17 / 遺伝子多型 / polyI:C / CD4陽性細胞 / スギ花粉症 / リスクアレル / スフィンゴシン-1-リン酸 |
研究概要 |
ORMDL3は、小胞体の膜貫通蛋白であり、炎症関連蛋白としてすべての細胞で発現している。これまでクローン病や潰瘍性大腸炎、小児気管支喘息において重要な遺伝子であると報告されてきた。またスフィンゴ脂質や細胞内Ca2+代謝機能に関与しているとも言われてきた。そこでスギ花粉症737人と非アレルギー健康成人370人における候補遺伝子アプローチとしてORMDL3(Orosomucoidl-like3)13ヵ所の遺伝子多型を検討した。その結果、13ヵ所うち9ヵ所において2群間で有意差を認めた。これまで小児気管支喘息のGenome wide association studyにて報告されていたrs7216389もP=0.0012と有意であった。その部位においては、TTがリスクアレルであった。そこで末梢血からCD4陽性細胞を分離し、IL-17産生をTT型、TC+CC型の2群で比較検討した。その結果、TT型において有意に高いIL-17産生を示すことが判明した。さらにリンパ球遊走因子であるスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)を調べると血清においてアレル別では差を認めないが、CD4陽性細胞にpolyI:Cを刺激してS1P産生量を調べるとTT型で有意に高値であった。さらに不活化B細胞株では、TT発現株でORMDL3のmRNA発現が有意に高値であった。また鼻粘膜由来線維芽細胞においてLPS/MALP-2刺激では変動しないが、polyI:C刺激にてORMDL3の発現が亢進した。さらに肥満細胞株においてもpolyI:C刺激にてORMDL3の発現が亢進した。臓器別では、鼻粘膜においてORMDL3が多く発現していた。以上のことからORMDL3がスギ花粉症発症に深く関与していることが判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子解析からスギ花粉症発症にかかわる遺伝子ORMDL3が判明し、その機能解析としてアレル別のIL-17産生、SIP産生、ウイルスとの関連などを検討でき、順調にデータが得られている。また特許の出願もできた。
|
今後の研究の推進方策 |
Intelecthin、DAF、C3、Apolipoprotein A-4の発現ベクターの作成は順調に進んでいるので、それを完成させ、蛋白発現によっていろいろな細胞系で機能解析を行っていく。
|