研究課題
今年度の成果として,新たに次の3点について明らかにした1.細菌由来のプロテアーゼに対する鼻粘膜上皮細胞のタイト結合の変化を確認した.この成果は,各種のプロテアーゼが上皮細胞と上皮細胞下の免疫担当細胞との相互作用を調節する因子であることを示しており,抗原提示細胞との相互関連との観点からも,重要な外因性因子であることを示している.さらに,この研究では,鼻腔の抗原やアレルゲンに対する侵入調節,さらに,薬剤の新しいルートの調節因子であることも意味しており,有意義な成果であった(Nomura K et al. Resp Res 2014)2.ウイルスの鼻粘膜上皮での複製・出芽は上気道感染症での重要なステップである.特に小児での重要なRSV感染症について,昨年度にはその鼻粘膜上皮でのウイルス複製・出芽のメカニズムを詳細に検討した(Masaki T et al Mol Biol Cell 201).さらに今年度は,このRSVの鼻粘膜上皮での増殖・出芽抑制効果を示す活性物質の探索を行った.その結果,NF-kappa B抑制活性を持つ物質がこの作用を持つことが解明され,その中でクルクミンが顕著なウイルス抑制作用を持つことが分かった(Obata K ety al Plos One 2013).さらに,ホップ成分であるフムロンも同様の作用を持つことが分かり(Fuchimoto J et al Med Mol Morphology 2013),機能性食品への道筋をつけることができた.このように,今年度の成果は,抗原の侵入,ウイルスに対しての作用という2つの鼻粘膜上皮の持つ生体防御機構について解明し,新たな治療戦略への一歩を示すことができた.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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