• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

聴覚受容体遺伝子の機能解析および難聴モデルマウスの作製

研究課題

研究課題/領域番号 23390399
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

鵜川 眞也  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20326135)

研究分担者 野口 佳裕  東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (50282752)
村上 信五  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80157750)
梶田 健二  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80381820)
喜多村 健  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90010470)
植田 高史  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90244540)
佐久間 英輔  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90295585)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2015-03-31
キーワード機械刺激受容チャネル / ASIC1b / 有毛細胞 / ASIC4 / 内耳 / ノックアウトマウス / 国際研究者交流 / 英国
研究概要

ASIC1bノックアウトマウス有毛細胞の特性を、パッチクランプ法を用いて解析した。ノックアウトマウス内・外有毛細胞の電位依存性basolateral電流はほぼ正常であったが、capacitanceを測定して細胞の大きさを推定したところ、ノックアウトマウスの外有毛細胞は野生型のものに比べ、やや小さいことがわかった。機械刺激電流もほぼ正常であったが、ASICの特異的阻害剤であるナファモスタットが機械刺激電流を完全にブロックすることがわかった。この所見は、1b以外のASICサブタイプが有毛細胞に発現していることを強く示唆するものであり、ASIC4も有毛細胞に発現しているという我々の知見と一致するものであった。また、ノックアウトマウスの外有毛細胞に電圧変化を加え、細胞の運動を撮影したところ、野生型マウスの外有毛細胞では、その伸び縮みが確認できたが、ノックアウトマウスでは伸び縮みが見られず、コルチ器の振動を増幅させるという外有毛細胞の機能が完全に消失していることがわかった。この興味深い結果は、プレスチンと呼ばれるタンパク質が外有毛細胞の伸縮を引き起こすという定説に一石を投じるものであり、ASIC1bが聴覚受容に必須の分子であることを明快に示すものである。
ASIC4ノックアウトマウスの作出であるが、ASIC遺伝子は、変異体が生体内で発現した場合、他のASICチャネルを阻害する可能性(dominant negative)があることから、ASIC4遺伝子のどの部分を欠損させるべきか、電気生理学的に検討を行った。本来なら、今年度中にマウスを作出する予定であったが、慎重を期して、作出前に徹底的に解析を行ったわけである。その結果、第2~4エクソンを欠損させることに決定し、現在、実際にマウスを作出する大阪大学微生物病研究所と共同で準備を進めているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ASIC1bノックアウトマウス有毛細胞の電気生理学的解析が順調に進んでおり、ASIC1bが発現していないと外有毛細胞の運動機能が消失するという非常に興味深い知見も得られた。この結果は、プレスチンと呼ばれるタンパク質が外有毛細胞の運動を引き起こすという定説に一石を投じるものであり、今後、この現象を詳細に解析することで、聴覚受容における常識を覆すことができるかもしれない。ASIC4ノックアウトマウスの作出は、極めて慎重に進めているため、やや遅れ気味の感はあるが、ES細胞の作製には成功しているので、早晩、ホモ欠損個体が得られるであろう。また、ASIC1bが細胞の運動機能に必須という結果は、マウス作出の遅延を補ってあまりあるものである。

今後の研究の推進方策

ASIC1bノックアウトマウス有毛細胞の電気生理学的解析を完結させ、論文として報告する。さらに、ASIC4ノックアウトマウスを作出し、聴力検査を行う。パッチクランプ法を用いてASIC4ノックアウトマウス有毛細胞の機能解析を行う。さらに、ASIC1bノックアウトマウスとASIC4ノックアウトマウスを交配させ、ASIC1b/ASIC4ダブルノックアウトマウスを獲得し、聴力検査と有毛細胞の電気生理学的解析を施行する。完全難聴になる可能性もあり、その場合はASIC1b/ASIC4複合体が聴覚受容体であると結論づけることができる。本研究は、手技的に困難を伴う機械刺激電流の測定(国内では行われていない)を行うものであるので、あと2年の研究費交付期間内に完了させることは難しいかもしれないが、避けては通れない研究課題であり、できる限り推し進めたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [学会発表] 内耳有毛細胞における酸感受性イオンチャネルASIC1bの発現と機能2012

    • 著者名/発表者名
      鵜川眞也
    • 学会等名
      第40回大阪めまい研究会
    • 発表場所
      阪急ターミナルスクウェア(大阪)
    • 年月日
      20121007-20121007
    • 招待講演
  • [学会発表] 内耳メカノセンサーチャネルの分子実体は?2012

    • 著者名/発表者名
      鵜川眞也
    • 学会等名
      第22回日本耳科学会総会・学術講演会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(名古屋)
    • 年月日
      20121004-20121006
    • 招待講演
  • [学会発表] 内耳有毛細胞における酸感受性イオンチャネルASIC1bの発現と機能2012

    • 著者名/発表者名
      鵜川眞也
    • 学会等名
      第115回札幌市耳鼻咽喉科医会学術研修会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(札幌)
    • 年月日
      20120804-20120804
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi