研究課題/領域番号 |
23390401
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
寺崎 浩子 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40207478)
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研究分担者 |
伊藤 逸毅 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (10313991)
米今 敬一 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (40362256)
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キーワード | 未熟児網膜症 / 網膜新生血管 / 脈絡膜新生血管 / ノックインマウス / ファイバーOCT |
研究概要 |
未熟児網膜症に対する硝子体手術は、平成23年度(平成24年2月29日-まで)は2例2眼に対して施行され、硝子体検体は4例4眼で得られた。今後、ヘパラン硫酸濃度及びVEGF濃度を測定する。また、採取検体を用いた培養試験も行っていく。 Girdinのリン酸化をブロックした遺伝改変マウス(GirdinS1416Aノックインマウス)において、生後発達段階の網膜血管の発達は、日齢5日、7日、10日において有意に遅延していた。また、同様に酸素誘発網膜症モデル(OIR)、レーザー誘発CNVモデルでも優位に網膜新生血管、脈絡膜新生血管の発生が少なかった。一方、OIRで網膜新生血管が生じる前段階に存在した無血管野は、GirdinS1416-ノックインマウスにおいても変化がなかったため、このモデルでは網膜無潅流領域が生じている場合に血管新生が生じることを抑制できる可能性が示された。VEGFトランスジェニックとGirdinS1416Aノックインを交配し、VEGFを網膜内で過剰発現するGirdinS1416Aノックインマウスを作製することができたため、網膜下新生血管の定量を行っている。 ファイバーOCTは、ヒトでの使用に向けて学内の倫理委員会へ承認申請中である。撮影部を分離できるOCT装置については専用のスタンドを開発し、手術中に仰臥位で撮影したデータを蓄積中である。手術中の硝子体温度変化について、白内障手術、硝子体切除で眼内温度は低下し、剥離操作では復温する傾向にあった。レーザー照射数と温度上昇には有意な相関があり、硝子体切除後の温度低下状態から平均3.3℃上昇した。 以上の結果について、当年度の日本臨床眼科学会特別講演の一部として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
未熟児からの検体量が少ないため十分なデータをとるのに時間を要する可能性があるものの、その他の眼内血管新生の病態解明の研究では論文投稿並びに論文準備が終了した。眼内OCTの臨床使用は、作成、安全性の検証は終了し、倫理委員会に承認される見込みであるが、実際の使用は来年度の見込みとなった。温度モニターの研究は論文準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き計画通りに進めていく。来年度以降は倫理委員会に承認された眼内ファイバーOCTを臨床例に用いて疾患の解析を行う。また、未熟児からの検体を引き続き収集し、眼内血管新生の病態解明の研究をさらに推進する。温度モニターの研究においては強度近視について測定を行い、新たな解析を行う。
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