研究課題/領域番号 |
23390401
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
寺崎 浩子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40207478)
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研究分担者 |
伊藤 逸毅 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10313991)
米今 敬一 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (40362256)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 網膜脈絡膜新生血管 / ノックインマウス / VEGF / Girdin / 未熟児網膜症 |
研究概要 |
平成23年度実績報告書において、Girdinのリン酸化をブロックした遺伝子改変マウス(Girdin S1416Aノックインマウス)では、生後発達段階の網膜血管、酸素誘導網膜症モデル(OIR)、レーザー誘発CNVモデルでは正常マウスに比べ有意に網膜新生血管・脈絡膜新生血管の発生が少ないことを報告し、さらに平成24年度申請書において、網膜視細胞でVEGFを過剰発現するヒトVEGF(hVEGF)トランスジェニックマウスとGirdinS1416Aノックインマウスを交配させhVEGF(+/-)GirdinS1416Aマウスを作成し、その網膜を生物学的に分析する計画を述べた。その計画通りS1416Aノックインマウスのコロニーを作成後、視細胞におけるVEGFの発現とGirdinの機能について検討した。その結果、hVEGF(+/-)GirdinS1416Aマウスの視細胞に限局した新生血管は、対照のそれに比べて有意に減少していることが組織的に確認された。これらのことから新生血管発症においてGirdinが重要な役割を担っていることが改めて確認され、以上をAmerican Journal of Pathologyに報告した(Ito T,Komeima K,Terasaki H,2012)。 また、術中眼内温度測定を一昨年度行い、常温の眼灌流液使用下での術中眼内温度が著しく変化することを報告している。今年度は高度近視眼での測定を行い、結果を比較した。眼球内容がきわめて大きい高度近視眼においてはさらに低温状態となりやすいことが予測されたがむしろ低温になりにくいことが明らかになった。温度調節機能をもつ脈絡膜も薄いが強膜も薄く眼窩内の体温が伝播するためと考えている。低温療法は網膜保護にはたらく為、高度近視眼での温度変化の検討は手術侵襲軽減に貢献すると考え研究をすすめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の実施計画である1.眼内血管新生の病態解明とそれに基づく治療開発については論文受理にまで至り、一応の成果を得た。2.術中温度モニターによる眼内温度変化について論文投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、残り1年において、ファイバーOCTにさらなる研究を行い、臨床使用の実現を目指す。すでに、プロトタイプは完成し、豚眼での記録は終了したため、近々家兎による画像解析を行う予定である。
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