研究課題/領域番号 |
23390402
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
園田 康平 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10294943)
|
研究分担者 |
吉田 裕樹 佐賀大学, 医学部, 教授 (40260715)
武田 篤信 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (40560313)
高 知愛 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (70314797)
木村 和博 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60335255)
森重 直行 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40346565)
|
キーワード | 加齢黄斑変性 / 局所炎症 / 線維瘢痕化 / マクロファージ |
研究概要 |
本年度の実績 まず我々が別施設で確立した方法に従ってマウスを用いた網膜線維瘢痕化モデルの立ち上げを行った。これは顕微鏡で直視しながらマウス網膜下に、経強膜的に32G針を刺入し、網膜下に同系チオグリコレート誘導活性化型マクロファージを注入するものである。当初マウス眼球操作の備品を揃えることと、手技の安定に時間がかかると考えたが、予想以上に早く安定した結果を得ることができた。また眼内コラーゲン定量化もハイドロキシプロリン測定により実現でき、より客観的に線維搬痕化を評価できるようになった。作成した疾患モデルにおいて、自然免疫細胞群(マクロファージ・好中球・primitive T細胞)カイネテクスをフローサイトメトリーで解析した。顕微鏡下で網膜下組織を分離し、コラゲナーゼ(typeIV)処理することで、効率的に浸潤細胞を単離することができた。フローサイトメトリー解析により、浸潤細胞は、60%マクロファージ、20%色素上皮細胞(浸潤または局所増殖したもの)であることが判明した。抽出液を用いたBioPlex[○!R]を用いた網羅的タンパクビーズアレイ解析により、局所でTNFa,IL-6,MCP-1,MIP-2が上昇していることが示された。これらはいずれも獲得免疫系よりは自然免疫系細胞に作用する液性因子であり、線維癒痕反応にリンパ球よりは自然免疫細胞群が関与することが立証された。同時にIL-27産生も上昇していたが、IL-27の炎症反応枝の関与は2面性が報告されているため、今後IL-27のレセプターであるWSX-1分子欠損マウスを用いて、網膜下線維瘢痕反応がどのように修飾されるかを見極めた上で次の解析に移りたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス網膜下瘢痕モデルの立ち上げが順調に行えた。また瘢痕組織を摘出し、部分的に酵素処理することで効率よく浸潤細胞を分離できたことで、その後の解析が進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
モデルの立ち上げと、炎症性液性因子の解析が終了したことを受け、本研究のメインテーマである「網膜色素上皮細胞およびマクロファージを用いた局所炎症反応および線維瘢痕反応抑制」にとりかかる。網膜色素上皮細胞・マクロファージの機能改変のため、抗炎症因遺伝子導入を柱とする実験を行う方針である。最終的にはin vivo,in vitro両方で線維瘢痕反応を抑制する細胞移入療法を確立したい。
|