研究課題
網膜硝子体疾患において眼局所炎症が誘発され、それによって不可逆的組織ダメージを残す。組織ダメージの最終形である線維瘢痕形成動物モデルにおいて経時炎症変化を解析し、有効な治療戦略を提案することが最終目的であった。網膜下線維化病巣形成に重要な細胞は、マクロファージと網膜色素上皮細胞(pigment epithelial cell:RPE)であった。網膜下に活性化マクロファージを注入すると、マクロファージからIL-6が分泌され、それによって活性化されたRPEよりMCP-1が産生される。注入量の約10倍の内因性マクロファージの流入が生じ、これが網膜下線維組織形成の主因となることが判明した。RPEは定常状態では抑制型のサイトカインであるIL-10を産生するが、活性化マクロファージと共培養するとその産生が低下した。また細胞内に平滑筋アクチンが増えるなど構造変化が生じ、グリア細胞の増成と相まって不可逆変化に進展した。局所液成因子のスクリーニングの結果、病巣形成が生じるマクロファージ注入後7日目からIL-27の著明な低下が観察された。IL-27は様々な炎症疾患で炎症促進にも抑制にも作用するサイトカインとして知られていたが、網膜下炎症反応を制御する重要な因子と考えた。事実IL-27を7日目から補充することで、線維瘢痕形成を著明に軽減することができた。本研究から、網膜硝子体疾患においてIL-27の補充またはその低下抑制を図る手法が治療に有効であると考えた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)
Inflammation and Regeneration
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Invest Ophthalmol Vis Sci
巻: 55 ページ: 125-133
PLoS One
巻: 20 ページ: e80288
巻: 8 ページ: e74279
巻: 8 ページ: e68183
Cell Biochem Funct
巻: 31 ページ: 482-488