研究課題
前年度にiPS干渉法(Hikichi et al:PNAS, 2013)を用いて、強干渉した20因子をもとに、どの因子の組み合わせが重要かを詳細に検討した。誘導前の細胞はヒト胎児皮膚繊維芽細胞を用いた。20因子をすべて導入するとインテグリンα6陽性、CD71陰性の細胞が数%得られた。インテグリンα6陽性、CD71陰性の細胞はサイズが小さく、またN/C比も大きく、幹細胞の特徴をもった形態を示した。この細胞群の導入効率が最も高い組み合わせで転写因子を導入すると、ケラチン15陽性細胞を高効率で誘導できることを免疫染色で確認した。そしてこの誘導細胞はKi67陽性であり、Ncadherin陽性細胞であった。これはすなわち、角膜上皮幹細胞様の細胞が誘導できたことを意味する。次に、これらの細胞を羊膜上にまいて角膜上皮分化誘導をおこなった。角膜上皮最終分化マーカーはケラチン12あるが、様々な分化誘導法を行ってもケラチン12の発現を認めることはできなかった。そのため、今度はケラチン12を指標に転写因子の組み合わせを検討した。新生児皮膚繊維芽細胞に様々な転写因子セットを導入し角膜培地で培養すると、10日目に上皮様の形態を示す細胞群を確認した。そして、誘導細胞のほとんどはpan-cytokeratin陽性細胞で上皮細胞であることを確認した。またそのうちの一部は角膜上皮特異的タンパクであるkeratin3陽性、keratin12陽性細胞であった。また、それらの細胞の遺伝子発現レベルをqRT-PCRで確認すると、keratin3, keratin12以外にも、ALDH3A1, TKT、CDH1, keratin15の発現が上昇していた。一方で、繊維芽細胞マーカーであるVIMの発現は誘導細胞で低下していた。このことから、繊維芽細胞における転写因子セットの強制発現によって、keratin12陽性細胞の誘導、すなわち角膜上皮細胞のダイレクトリプログラミングに成功した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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