研究課題/領域番号 |
23390408
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
光嶋 勲 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60101804)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リンパ浮腫 / ICG / リンパ管静脈吻合術 / 合併外科治療 / 機能的リンパ移植術 |
研究概要 |
①ICG(インドシアニンググリーン)蛍光リンパ管造影法の更なる進歩があった。肉眼的非顕性の早期リンパ浮腫の診断が可能となり実際にLVAを行い症例数が増えつつある。放射線照射例であってもリンパ浮腫の予防が可能であるという確信が得られてきている。さらに軽症例のリンパ浮腫に対してLVAをかなりの症例数で行ってきたが、完治例が年ごとに増えつつあり、この方法もいずれ定着すると思われる。 ②リンパ浮腫の病態解明に関してはリンパ管の平滑筋細胞の変性が起こっていることを世界で初めて報告したが、早期例であればこの変性がまだ可逆的でありそれが非顕性あるいは、早期浮腫の完治につながっていることがさらに確信されつつある。 ③重症例に対する治療法に関しては、機能を有する例において正常なリンパ管、リンパ節の移植を開発したが、過去1年間で症例数が増えつつある。世界で初めて、機能的リンパ移植術は現在ある外科的治療法の中で最も有効な治療法だと判明しつつある。 ④国際共同研究におけるリーダーとしての貢献では、過去1年間Activeに活動した。バルセロナ大学、台湾チャンガン記念病院、台湾三軍医科大学、NY州立大学において、ライブ手術・リンパ浮腫の講演を行い、ペルーのリマやアメリカハーバード大学、ペンシルバニア大学でも招待講演を行った。ローマでの世界リンパ学会に10題以上の演題を出し、世界トップの施設であることを強調した。また1月よりアメリカリンパ外科治療学会が創立され、海外でもリンパ外科手術は急速に広まりつつある。ヨーロッパ・アメリカの主導者達は、東京大学で教育とトレーニングを行ってきている。当科における新しい治療法の開発と世界最多の手術症例数からの知見がベースになって世界的に治療法が進化しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去1年間、重症リンパ浮腫に対する機能的合併外科治療法が多くの患者に対してなされ、これまでになかった世界に誇れる成功例が多く出てきている。 これらの知見と術式が、国内・海外での講演や手術デモが多数行われてきた結果、海外から多くの見学者、留学生(年間約50名)が東京大学に来ている。さらに来年度も海外からの招待講演、手術デモが依頼されている。
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今後の研究の推進方策 |
①重症リンパ浮腫に対し、現在開発中の合併外科治療をすすめる。より多くの重症な患者に対する治療法とするために一層の改良を行う予定である。 ②予防的なリンパ管静脈吻合法をより多くの早期、非顕性のリンパ浮腫の患者に試み、予防的な治療法の確立をめざす。軽症、潜在性リンパ浮腫に対しての確立も試みる。 ③国際講習会でリーダーとして世界をけん引する。より多くの知見と確立された術式を世界に発信し内外の専門医の受入・指導を推進していき、年間100名以上の受け入れを目指したい。また国内学会年間30本、国際学会年間30本、海外ライブ手術も年間5回程度目指したい。最終的には重症患者から圧迫療法を不要とし、さらに予防的な治療法を世界に普及することにより、リンパ浮腫の患者が発生することがない時代を築きたい。
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