研究課題
方法:昨年報告したように、治療方法の普及のため、今回は培養過程を省略し、骨髄細胞を採取したあと、直ちに単核球を分離して、10の8-9乗個の骨髄単核球を髄液中に投与することとした。対象は、受傷後1年以内のAIS (American Spinal Injury Association Impairment Scale) grade AまたはBの患者である。適用条件を満たす5例の頸髄損傷と、5例の胸髄損傷を対象とした。評価はASIA 運動スコア, 知覚スコア, AIS gradeで行った。結果:頸髄損傷患者の受傷後早期移植(3週、6週)例に運動スコアの著明な改善(各66点、12点)をみた。また、これらの症例では知覚スコアも共に60点以上の改善をみ、AIS gradeもBからC、Dへと改善した。しかし、3月以上を経過した症例では運動スコアの改善も2点から数点、知覚も20点程度の改善に留まった。一方、胸髄損傷患者では、四肢麻痺ではなく、対麻痺であるために、初期運動スコアは50点はあるものの、半年後にもたかだか数点の改善をみたにすぎなかった。しかし、知覚スコアは40点の改善をみた症例もあった。骨髄細胞の採取と髄液内投与による有害反応は全く見られなかった。考案:骨髄単核球細胞の移植は、受傷後の機能が安定して評価可能となる受傷1,2週間から、遅くとも数週間以内に実施するべきと考えられた。AIS grade BかCが良い適用と考えられた。頸髄損傷では、運動機能の改善が直ちに運動スコアに反映されるが、胸髄損傷ではたとえ肋間筋や躯幹の筋肉の運動機能に改善があっても、下肢の運動機能が改善するまでは運動スコアに反映されないため、現在のASIA scoreに代わる評価が必要と考えられた。胸髄損傷にも知覚の改善や、坐位姿勢の保持が可能となる症例が見られた。骨髄細胞の髄内投与は安全と考えられた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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RESTORATIVE NEUROLOGY AND NEUROSCIENCE
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PLOS one
巻: 8巻 ページ: e73494
10.1371/journal.pone.0073494