研究課題/領域番号 |
23390417
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
飯村 忠浩 東京医科歯科大学, 学内共同利用施設等, 特任准教授 (20282775)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | イメージング / 骨 / 骨代謝 / 骨格発生 / 骨細胞 |
研究概要 |
定量的な機能解析は生化学・分子生物学における有効な研究方法である。しかし。多くの場合、組織や細胞をすりつぶすことになり、組織上での細胞機能変化を捉えるのは困難である。本研究では、定量的細胞機能イメージングを駆使して骨組織を網羅的に観察し、個々の細胞の形や容量、そして様々な機能発現レベルを定量化し類型化し、骨組織細胞の機能相関と調節機構を統合的に理解することを目的とする。 本年度の研究成果として、まず、骨細胞ネットワーク形態の3次元的可視化と定量解析法の確立があげられる。骨細胞は骨組織のメカノセンサーとして機能していることが確立されているが、骨細胞の形態や細胞間ネットワークの形態学的差異がセンシング機能に重要であると考えられる。我々の研究成果では、マウスの骨を3次元蛍光イメージングにより観察・計測することで、非荷重骨である頭頂骨と荷重骨である脛骨において、骨細胞ネットワークの形態が異なることを明らかにした。このことから、成長過程における荷重の変化に対する各骨の適応であるとともに、センシング機能に対する差異も生じることが考えられた。次の成果として、骨細胞が分泌するスクレロスチンの発現分布が、生後発達過程にともなって骨小腔・骨細管ネットワーク内で徐々に拡大分布すること、また発現は海面骨ではほとんど産生されずに主に骨幹部の皮質骨で産生されることを、上記と同様の3次元蛍光イメージングおよび計測により明らかにした。以上の結果は、同じ骨組織でも骨や部位によって機能分担があることを定量的な方法で証明することを可能にした。また、同様の方法により、発生分化過程にある脊椎骨格において、TGF-betaおよびBMPシグナルのインプットレベルが、細胞分化に伴って変化することを組織切片上での半定量的な解析で明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究開始2年目であるが、本科研費の研究計画に沿った研究成果を論文として3報、報告することができた。また、本研究に関連する論文もいくつか報告することができた。
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今後の研究の推進方策 |
骨細胞の機能的イメージングをさらに展開し、骨組織の機能分担の生理と病理。病態解明に役立てるように進めていきたい。
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