研究課題/領域番号 |
23390418
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
|
研究分担者 |
泉 健次 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80242436)
井上 佳世子 (野澤 佳世子) 新潟大学, 医歯学系, 特任准教授 (90303130)
河野 芳朗 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60303129)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 歯根膜 / ASIC / ルフィニ神経終末 / 機械受容器 / イオンチャネル |
研究概要 |
前年度の結果より、目的分子をASIC3に決定し、以下の実験を行った。 ① ラットルフィニ神経終末の発生過程をASIC3の免疫染色で追求したところ、成熟するまでASIC3タンパクの発現はみられなかった。しかしながら、動物が成熟するまでは細い歯根膜神経線維にASIC3陽性反応が認められ、これらは侵害受容器と考えられた。微細局在を調べたところ、ASIC3の反応は刺激受容に重要な役割を果たしているaxonal spine存在しなかったことから、成熟した機械受容器ではASIC3は機械受容器の興奮に重要な役割を果たしているカルシウムイオンの代謝に関与していることが明らかとなった。 ② 神経傷害後のASIC3の変動を検討するために、waldo法による歯の移動実験、下歯槽神経の部分切除実験、下歯槽神経結紮実験の3種類の傷害モデルを用いた。予備実験として各3種の神経傷害刺激を与え、経日的に三叉神経節を取り出し、ASIC3の免疫染色を行った。また、歯根膜神経線維の変化をprotein gene product 9.5 (PGP9.5)の免疫染色で確認した。その結果、PGP9.5の免疫染色ではすべての神経傷害モデルで我々の既報通りの神経の変性、再生過程を追求できたが、三叉神経節でのASIC3の経日的変化は、waldo法による歯の移動実験と下歯槽神経結紮実験では著名ではなかった。従って、次年度に計画予定の神経傷害モデルには下歯槽神経の部分切除実験を用いることとした。 ③ ASIC3ノックアウトマウス頭部を台湾の研究者より分与してもらい、同歯根膜をASIC3抗体で染色したところ、神経線維はPGP9.5陽性であったが、ASIC3は陰性であり、また前年度の二重染色の結果からASIC3タンパクは軸索に局在することが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in situ hybridization法による末梢神経レベルでのASIC3遺伝子を、前年度作成し、三叉神経節で遺伝子の同定が可能だったプローベを用いて同定を試みたが、脱灰した歯根膜標本ではbackgroundのノイズが激しく、特異性に不安を感じたため、再度、cRNAプローベを作成し直した。そのため、当初計画が予定より遅れたため、研究費の一部を繰り越した。繰越承認期間中に末梢組織で遺伝子シグナルが同定できたので、次年次以降、研究の暮れが挽回可能と考える。
|
今後の研究の推進方策 |
ASIC3にターゲットを絞ることができ、また神経傷害モデルとして下歯槽神経切断モデルがASIC3の機能解析に有用であることが明らかとなったことから、今後の研究遂行は容易に進むと考えられる。また、歯根膜組織等の非神経組織で遺伝子同定が可能となったことから、タンパク、遺伝子レベルの両面からの研究アプローチが可能となると思われる。
|