研究課題/領域番号 |
23390423
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
加藤 幸夫 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (10112062)
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研究分担者 |
能城 光秀 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 准教授 (00144858)
藤本 勝巳 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (40294566)
河本 健 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (50224861)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 転写因子 / ノックアウトマウス / 血圧 / 時計遺伝子 / DEC1 |
研究概要 |
前年までの本研究により、心臓や大動脈でのナトリウムポンプ遺伝子の発現を時計遺伝子産物CLOCKが促進して、時計遺伝子産物DEC1は抑制することが明らかとなった。さらに染色体免疫沈降法にて、CLOCKとDEC1は同ナトリウムポンプ遺伝子のプロモーターに直接結合して、そこからの同遺伝子の転写を制御することを明らかにした。DEC1ノックアウトマウスの血圧を、以前は安静拘束条件にて手動で測定したが、今回は、マウス体内にカテーテルで血圧、脈拍測定装置を導入して、自由行動時での血圧と心拍数を遠隔操作にて自動測定した。その結果、安静時と同じく、自由行動時でも、DEC1ノックアウトマウスでは野生型マウスと比較して、収縮期および拡張期血圧が低下することが判明した。一方、心拍数は野生型と同じであった。なおDEC1ノックアウトマウスは血圧と心拍数の概日リズムの位相と周期、および振幅にほとんど影響しなかった。また他の時計遺伝子のノックアウトマウスが影響する血中アルドステロン値(Cryダブルノックアウトマウス)と血中ノルエピネフィリン値(Bmal1ノックアウトマウス)を測定したが、DEC1ノックアウトはこれらに影響しなかった。さらにPer1ノックアウトマウスで観察されている、腎臓からのナトリウム再吸収の低下は、DEC1ノックアウトマウスでは観察されなかった。これらの知見は、DEC1が主として、心臓循環器系でのナトリウムポンプ遺伝子の発現を仲介して血圧に影響することを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血圧の自動測定機がようやく納入されたので、ノックアウトマウスの血圧を自由行動時に遠隔測定できたため。予想以上に明確なデータを得る事ができた。
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今後の研究の推進方策 |
DEC1ノックアウトマウスの論文化を優先するが(尿量、尿中ナトリウム、ノルエピネフィリン値、アルドステロン値の概日リズムなど)、その後DEC2ノックアウトマウスの血圧の日内変動についても追求したい。
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