研究課題/領域番号 |
23390425
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
谷村 明彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70217149)
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研究分担者 |
根津 顕弘 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (00305913)
森田 貴雄 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (20326549)
東城 庸介 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90111731)
和泉 博之 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (20108541)
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キーワード | 唾液腺 / カルシウム / イノシトール三リン酸 / サイクリックAMP / 蛍光イメージング / 口腔乾燥症 |
研究概要 |
In vivo イメージングに使用するFRET型のCa2+センサー、cAMPセンサー、IP3センサー発現用ウイルスベクターを作成し、培養耳下腺細胞(HSY細胞)を使ってそれらの反応性を確認した。また、新規購入した共焦点レーザー顕微鏡システムで、これらの反応が解析できる事を確認した。さらに、これらのウイルスをラット顎下腺の導管から注入し、顎下腺腺房細胞に発現させる事に成功した。 Ca2+センサー遺伝子を使ったin vivo Ca2+イメージング解析の予備実験として、Ca2+蛍光色素fura-2を取り込ませた顎下腺のCa2+応答を低倍レンズを用いた落射蛍光照明イメージングで解析した。この実験では蛍光色素fura2を耳下腺および顎下腺に取り込ませ、カルバーコル刺激による細胞内Ca2+濃度の上昇を確認した。遺伝子発現型Ca2+センサー YC-nano50やG-GECOを使ったイメージング解析では、刺激薬の滴下、腹腔内投与、および静脈投与によるCa2+応答が確認された。さらに今後の研究で実施する、神経刺激によるCa2+応答に関する研究の予備実験として、舌神経刺激による唾液分泌を確認した。 導管のCa2+応答に関する研究の予備実験として、単離耳下腺導管および顎下腺組織を用たイメージング解析で、導管細胞の自発的Ca2+オシレーションと形態変化を共焦点レーザー顕微鏡を用いて解析した。 cAMP動態に関する研究では、FRET型cAMPセンサーを発現させた細胞で、反応性が認められなかった。従って、新たに発光型cAMPセンサーの使用を試みた。この発光センサーを発現させた細胞をイソプロテレノールで刺激すると、細胞内cAMP濃度の上昇による発光の増加を確認できた。そこで、この発光型cAMPセンサー遺伝子を組みこんだウイルスベクターを作成し、顎下腺に導入し、この発光cAMPセンサーの発現を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究に用いるIP3センサーおよびCa2+センサー遺伝子を組みこんだウイルスベクターを予定通り作成し、それらの反応性が確認した。また、研究に使用するイメージングシステムのセットアップが完了し、それらを用いたin vivoイメージング解析が可能であることが確認できたことから、予定通りの研究が実施できると期待できる。 FRET型cAMPセンサーが機能しなかったことから、蛍光センサーから発光センサーに変更した。Ca2+動態に関する研究と比較して、cAMP動態に関する研究は若干遅れているが、培養細胞を使った解析でcAMPセンサーが機能することや、このセンサーを組みこんだウイルスベクターを使った唾液腺細胞での発現まで進んでいることから、全体として概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
H23年度は、本研究で最も重要なCa2+センサーを使ったin vivoイメージング解析に必要な基本技術を確立した。今後、この研究を中心に唾液分泌と腺房細胞のCa2+シグナルの関係を明らかにする。特に、予備実験の結果から、唾液分泌に唾液腺の血流が関与することが示唆されていることから、唾液分泌、Ca2+応答、血流の同時解析を計画している。また、薬物刺激による反応に加えて、舌神経刺激を介する反射的副交感神経活性化法を使いて、より生理的な刺激による唾液分泌の調節機構を解析する。 現在実施しているin vivoイメージングでは、比較的低倍率のレンズを用いて唾液腺全体の反応を中心に解析を行っている。今後は、高倍率のレンズを使ったイメージングにより、より詳細な細胞内Ca2+動態のin vivoイメージング解析を試みる。 アデノウイルスベクターは、唾液腺腺房細胞に対して比較的特異的な遺伝子導入が可能であるが、導管細胞への遺伝子導入には不向きである。そこで、導管細胞のCa2+動態を明らかにするために、新たにアデノ随伴ウイルスの利用を計画している。
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