研究課題
本研究ではToll-like receptors (TLRs)とよばれる一群の受容体が骨代謝および骨病態においてどのような役割を担うのか、生体・細胞・分子レベルで解析し、得られた結果に立脚した骨疾患治療および骨再生方法の開発を目的とする。平成24年度までにTLR3が強力な破骨細胞分化抑制作用を発揮し、骨形成を誘導作用を持つことを明らかにした。平成25年度は、その作用機序を解明することに成功した。すなわち、TLR3のシグナルは細胞内シグナル伝達因子であるSTAT1を介して破骨細胞分化抑制因子であるIFN-β産生を誘導し、骨吸収を抑制することで骨量を増加させるというものである。さらに、平成25年度はボウタイモデル動物を用いてTLR4の機能について解析した。骨形成誘導因子であるBMP-2を用いた骨再生医療を想定し、細菌感染が骨形成誘導に及す影響について解析した。菌体成分LPS(TLR4のリガンド)とBMP-2を同時にマウスに投与したところ、BMP-2による骨形成誘導が強力に抑制された。その作用機序について解析した結果、LPSがIL-1βを介して骨形成を抑制していることが判明した。以上の結果は、本研究の目的である自然免疫システムと骨代謝調節機構の関係を生体、細胞および分子レベルで解明し、病態との関係についても新しい知見を得ることができたことを意味し、計画当初の期待される成果を得ることができたと言える。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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