研究課題/領域番号 |
23390428
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
苔口 進 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10144776)
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研究分担者 |
前田 博史 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00274001)
村上 純 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (40362983)
狩山 玲子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40112148)
横田 憲治 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 准教授 (00243460)
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キーワード | Aggregatibacter actinomycetemcomitans / HACEK群細菌 / 口腔細菌 / 心臓・血管疾患 |
研究概要 |
口腔細菌に起因する歯性感染症の中で重篤な症状となる感染性心内膜炎、心臓弁膜症、冠動脈疾患などの心臓・血管疾患の病態は未だ不明である。本研究では、心臓・血管疾患に密接に関連するHACEK群細菌種の中で申請者らの成果の蓄積があるAggregatibacter actinomycetemcomitans(Aa)を取り上げ、1)Aaの心臓・血管細胞への付着や障害に関わる病原因子の特定、2)Aa感染時における心臓・血管細胞の免疫反応様態の解析、3)Aa感染様態解析のための分子イメージング技術の確立、4)細胞への付着やバイオフィルム形成の新規阻害化合物の探索を目的に研究を行った。そこで23年度は以下のような成果を得て、研究を継続している。 1)培養ヒト心臓血管内皮細胞(HMVEC-C)や培養ヒト上皮細胞(HEC)への付着に関わる因子として菌体表層に存在し、レンサ球菌では付着因子として注目されているenolaseをAaについて特定した。 2)Helicobacter pyloriで自己免疫反応を介して胃粘膜障害に関わる熱ショック蛋白(HSP)をAaについて特定し、心臓・血管疾患を有する患者血清との反応を調べる準備を整えた。 3)大腸菌-Aaのシャトルベクターに緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を導入して蛍光を発するAaを得て、HMVEC-Cへの付着や感染様態を調べている。 4)HMVEC-CにAaを作用させ、心臓・血管疾患の発症病態に関わる各種炎症性サイトカイン(IL-1,IL-6,IL-8,TNF-αなど)の発現についてDNAマイクロアレイキットを用いて網羅的に調べている。 5)細菌必須遺伝子のひとつmethionine aminopeptidaseを阻害するnaphthoquinone誘導体やdiol化合物がAaに対する抗菌活性を有することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災の影響で、研究費が分割されて支払われたにも関わらず、研究計画書に記載した項目については、研究分担者と協力して概ね進めることができた。GFP蛍光を発するAaについてはアメリカIndiana University School of DentistryのDominique M.Galli博士からの協力も得られた。
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今後の研究の推進方策 |
HACEK群細菌種が心臓・血管疾患に関わることは知られているが、実際の心内膜炎や心臓弁膜症の患者からの検査試料における口腔細菌やAaの検出なども合わせて分析できれば意義深いと考えている。倫理上の問題もあるが、そのような患者の歯科診療を担当している当大学病院の医療支援歯科治療部と今後連絡をとって研究を進めてみたい。
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