研究課題/領域番号 |
23390428
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
苔口 進 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10144776)
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研究分担者 |
横田 憲治 岡山大学, 保健学研究科, 准教授 (00243460)
前田 博史 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00274001)
狩山 玲子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40112148)
村上 純 岡山大学, 大学病院, 助教 (40362983)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | A. actinomycetemcomitans / HACEK群細菌 / 口腔細菌 / 心臓・血管疾患 |
研究概要 |
口腔細菌に起因する歯性感染症の中で重篤な症状となる感染性心内膜炎、心臓弁膜症、冠動脈疾患などの心臓・血管疾患の病態は未だ不明である。本研究では、心臓・血管疾患に密接に関連するHACEK群細菌種の中で申請者らの成果の蓄積があるAggregatibacter actinomycetemcomitans(Aa)を取り上げ、24年度は以下のような成果を得て、研究を継続している。 1)培養ヒト心臓血管内皮細胞(HMVEC-C)や培養ヒト上皮細胞(HEC)への付着に関わる因子として菌体表層に存在し、レンサ球菌で付着因子として注目されているenolaseをAaについて特定し、リコンビナントタンパク発現系を確立した。心臓・血管疾患を有する患者血清との反応を調べる準備を整えた。またさらにAaにおけるファイブロネクチン結合タンパクを同定して、HMVEC-Cへの付着や感染への関わりについて調べようとしている。 2)心臓・血管疾患の発症病態に関わる各種炎症性サイトカイン(IL-1,IL-6,IL-8,TNF-αなど)の発現について、唾液中の8種類のサイトカイン濃度をBio-Plexビーズ・システムを用いて同時に測定した。その結果,歯周病が進行している人ではInteleukin-6濃度が有意に高く,歯肉に炎症がある人では,Inteleukin-1β濃度が高いことが認められ、歯周局所のmicro-inflammationが全身健康にも悪影響を及ぼす可能性を確認できた。 3)岡山大学病院を受診した心内膜炎、菌血症の67歳の男性患者の血液培養および口腔内からEnterococcus faecalisを分離して、random amplification of polymorphic DNA法で比較した結果、遺伝子的に同一性を確認できた。これにより口腔感染巣と心内膜炎、菌血症との関連が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に記載した項目については、研究分担者と協力して概ね進めることができた。Aaのゲノム解析データベースからHMVEC-Cへの付着や感染に関わる表層タンパクや病原因子をさらに検索している。Aaに対する抗菌活性が明らかになったnaphthoquinone誘導体やdiol化合物はAaのバイオフィルム形成阻害にも有効であり、現在AaのLPS合成系を阻害することで、Aaの病原性が軽減できるかどうかを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
HACEK群細菌種が心臓・血管疾患に関わることは知られているが、実際の心内膜炎や心臓弁膜症の患者からの検査試料における口腔細菌や特にAaの検出なども合わせて分析できれば意義深いと考えている。そのような患者の歯科診療を担当している当大学病院の医療支援歯科治療部と今後も連絡をとって研究を進めてみたい。
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