研究課題
昨年度までにわれわれは、低酸素分圧(1%O2)下において株化口腔扁平上皮癌(OSC)細胞は株化NK細胞および健常人末梢血単核球よりIL-2にて誘導したLAK細胞に対する被傷害性が低下し、これらに対し抵抗性を示すようになるが、それにはOSC細胞からの免疫抑制分子の産生増強とOSC細胞および細胞傷害性細胞の両者における傷害能活性化受容体の発現低下が関与していることを明らかにしてきた。本年度は以下の点について検討し、若干の知見を得た。OSC細胞および細胞障害性細胞の会合(結合)が低酸素処理によりどうなるかを検討するため、OSC細胞とNK-92細胞を蛍光色素で標識し正常および低酸素分圧下で24時間培養後、NK-92細胞が結合したOSC細胞の割合をフローサイトメトリー法にて解析した。その結果、低酸素処理によりNK-92細胞が結合しているOSC細胞の割合は減少した。さらに、NK-92細胞における細胞接着分子の発現に及ぼす低酸素の影響を検討すべく、低酸素分圧下で24時間培養したNK-92におけるCD2、CD54、CD58、CD11aの発現をフローサイトメトリー法にて検討した。その結果、低酸素処理によりCD54、CD11aの発現低下が認められた。OSC細胞においても同様の検討を行った結果、低酸素処理によりOSC細胞におけるCD54、CD58の発現低下が認められた。これらとともに、NK-92細胞においては低酸素処理によりパーフォリン、グランザイムB、IFN-γの発現低下が認められた。以上のことから、低酸素環境下では細胞傷害性細胞の傷害能が低下するが、それには癌細胞および細胞傷害性細胞両者における接着蛋白の発現低下によるキラー細胞による標的細胞の認識力の低下やキラー細胞における傷害性蛋白の産生低下などが関連していることが示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013
すべて 学会発表 (2件)