研究課題/領域番号 |
23390431
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
引頭 毅 朝日大学, 歯学部, 講師 (10360918)
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研究分担者 |
滝川 俊也 朝日大学, 歯学部, 講師 (90263095)
高山 英次 朝日大学, 歯学部, 講師 (70533446)
猪俣 恵 朝日大学, 歯学部, 助教 (40553798)
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キーワード | 唾液腺 / IgA / B細胞 / MyD88 / Toll様受容体 / TACI / 粘膜免疫 / 自然免疫 |
研究概要 |
細菌やウイルスなどの病原体の多くは粘膜を介して感染する。従って、外分泌液中の分泌型IgAは粘膜感染防御機構で重要な役割を果たす。新型インフルエンザなどの新出病原体が跋扈し、高齢社会化が深刻さを増す現代では、有効ワクチンの開発とともに、気道の入口である口腔で「抗原特異的IgA」をいかに効率良く誘導できるかという概念が非常に重要な意味を帯びてくる。腸管の粘膜免疫における分泌型IgA産生とは異なり、口腔の分泌型IgA産生は唾液腺に依存する。実際、口腔粘膜ではIgA産生形質細胞はほとんど見られないのに対し、唾液腺ではIgA産生形質細胞が腺房や導管の周囲に認める。しかしながら、これらのIgA産生形質細胞の特徴や由来、ホーミング機構などについてはほとんど理解されていない。 本研究では、自然免疫機構で中心的な役割を果たす受容体であるToll様受容体、あるいはB細胞のクラススイッチにおいて重要な役割を果たす受容体であるTACI、そしてこれら受容体の下流のアダプター分子であるMyD88がT細胞に非依存的にIgA産生B細胞への分化誘導に関与することに着目し、唾液腺のIgA産生形質細胞の出現にどのような影響を及ぼすのかを解明することを目的とした。また、口腔微生物の存在と関連付けながら、唾液腺のIgA産生形質細胞の出現機構の解明を目指す。この際、免疫学的、組織学的、分子生物学的な解析を行なうことで総合的に研究計画を進行させ、口腔における未知のIgA産生機構を明確にしていくとともに、そのIgA型形質細胞の出現を人工的に制御する方法を追及していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度中には、唾液腺からのIgA産生に関連して多角的な解析を行ってきた。その成果として、MyD88を欠損したマウスの唾液腺においてB細胞に関連した異常が発生しており、DNAマイクロアレイ解析の結果から、その原因に関してもほぼ特定できてきた。今年度からはそのエビデンスを強化させる予定であり、このような計画は当初の計画にほぼ準じている。以上の理由により、達成度としては順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究計画はおおむね順調に遂行されているため、平成24年度以降の研究の推進方策としては、現状維持とする。平成24年度中の研究進展度に応じて、順次学会発表や論文作成が行えるように準備を進める。平成24年度中には、研究成果をwebページで公表できる状況まで進展させる予定である。また、研究発表欄に記述したように、MyD88の分子作用機構に関する知見が得られてきているため、研究の進展度に応じてこちらへの対策も講じる必要があるかもしれない。
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