研究課題/領域番号 |
23390431
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
引頭 毅 朝日大学, 歯学部, 講師 (10360918)
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研究分担者 |
猪俣 恵 朝日大学, 歯学部, 助教 (40553798)
高山 英次 朝日大学, 歯学部, 講師 (70533446)
滝川 俊也 朝日大学, 歯学部, 講師 (90263095)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 唾液腺 / B細胞 / IgA / MyD88 / Toll様受容体 / TACI / 粘膜免疫 / 自然免疫 |
研究概要 |
MyD88は自然免疫系を調節する細胞内シグナル伝達を発動する上で重要な細胞質タンパク質である。実際、Toll様受容体やTACIの下流でMyD88はアダプター分子として機能しており、様々な免疫応答の開始と制御に関与している。そのような背景から、当然MyD88は口腔領域の免疫応答にも関与すると考えられるが、その具体的な役割は明らかにされていない。本研究では、Myd88遺伝子を欠損したマウスを利用することにより、唾液中抗体のベースレベルや、唾液腺における抗体産生と関連する免疫応答にMyD88がどのように関与しているのか検討している。 MyD88を欠損したマウスでは野生型のコントロールマウスと比較して唾液中のIgAとIgG1のベースレベルが上昇しているのに対し、IgMとIgG3のレベルは減少している。顎下腺から抽出した全RNAのマイクロアレイ解析により、MyD88を欠損したマウスでは、Cd19、Ms4a1、Igh-VJ558やIgjなどのB細胞に関連する遺伝子群の強い発現の上昇が認められ、B細胞浸潤が起こっていることが示唆された。また顎下腺から分離した細胞の解析により、MyD88を欠損したマウスの顎下腺ではB220陽性細胞が増加しており、またCD5+CD23-及びCD5-CD23-であることから、B-1系統(B-1a・B-1b)のB細胞であることが分かった。さらに、組織学的解析により、顎下腺の結合組織の被膜を有する集合導管の周囲にリンパ球浸潤が見られることが分かった。また、マイクロアレイ解析ではGlycam、Cxcl13やCcl9の発現が強く上昇していることから、これらの発現がB細胞の浸潤を誘導する原因となっている可能性が示唆された。 以上、本年度までの研究成果により、唾液中の抗体産生の調節や唾液腺におけるB細胞の浸潤の制御にMyD88が関与していることが分かってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度中は、昨年度までに得られた研究エビデンスを強化させる予定であり、開始当初はほぼ順調に研究計画が進行していたが、年度途中から予想外の解析機器の故障やマウス個体数の確保の難航などが重なってしまい、徐々に研究計画に遅れが出始めたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度には、研究計画に予想外の遅れが生じ始めているため、最終年度に当たる平成25年度の研究の推進方策としては、難航している研究内容を根本から見直し、分担研究者の入れ換えを含めて、研究計画遂行のための検討が必要であると考えている。キメラマウスの作成等も難航しているため、最終年度では、進展の無い研究内容の大幅な見直し、代替法の検討や、内容の入れ換えなどを行いながら、研究計画の遂行を目指す予定とする。幸い、これまでの研究データをもとに論文作成を行うことができたが、さらなる研究進展のために多角的な工夫を行っていく必要がある。前年度と同様、年度中の研究進展度に応じて、順次学会発表や論文作成を効率的に行えるように準備を進めていく予定である。また平成24年度中には研究成果をwebページで公表できる状況まで研究進展させる予定であったが、未だ達成できていないため、これに関しても早急な対応をとる予定である。
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