研究概要 |
本研究の目的は、石灰化誘導性接着性モノマーCMETあるいは象牙質誘導性フォスフォフォリン部分ペプチドの再石灰化促進作用および歯髄細胞から象牙芽細胞への分化誘導活性について検討して、効果的な齲蝕治療材料を開発するための知見を得ることである。 本年度の研究では、まず、フォスフォフォリン部分ペプチドの象牙芽細胞の分化・石灰化への影響について検討した。さらに、フォスフォフォリン部分ペプチドのラット修復象牙質誘導活性について検討を加えた。象牙芽細胞としてミシガン大学から入手したMouse Dentin Papilla Cells-23 (MDPC-23)を用いた。0.1μg/ml, 1μg/mlのフォスフォフォリン部分ペプチド(RGD-1, RGD-2, RGD-3)をDMEM+10% FBSに添加して、MDPC-23に対する刺激実験を行った。その結果、フォスフォフォリン部分ペプチドは増殖には影響を与えなかったが、ALPase活性を上昇させ、RT-PCRではDentin Matrix Protein-1 (DMP-1), Dentin Sialophosphoprotein (DSPP)等のmRNA発現を促進した。さらにフォスフォフォリン部分ペプチドは石灰化を誘導することが明らかになった。また、フォスフォフォリン部分ペプチド(RGD-1, RGD-2)によるラット修復象牙質誘導を検討したところ、覆髄後、2週、3週で、コントロールとして用いた水酸化カルシウム製剤の結果と比較して、緻密な修復象牙質が誘導されることが明らかになった。 以上の結果から、フォスフォフォリン部分ペプチドは象牙芽細胞の分化・石灰化を誘導して、良質な修復象牙質形成を誘導する可能性が示唆された。
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