研究課題/領域番号 |
23390438
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
補綴系歯学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
宇尾 基弘 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20242042)
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研究分担者 |
朝倉 清高 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (60175164)
亘理 文夫 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70158682)
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20210627)
會田 英紀 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (10301011)
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キーワード | XAFS / インプラント / チタン / 表面分析 |
研究概要 |
XAFSはX線吸収スペクトルの精密測定により、他元素の妨害なしに対象元素の化学状態と近傍構造が推定できる手法である。 本年度は陽極酸化インプラント表面、同インプラント表面に付着した骨、および各種水溶液による処理を行った歯質表面のXAFS測定を行った。測定は蛍光法および転換電子収量法により行った。前者は比較的厚い表層(数ミクロン以上)の情報を、後者は数十~数百nmと表面近傍のみの情報を与えることから、両者を比較することで深さ方向の情報を知ることが出来る。 陽極酸化した表面のTiK吸収端のXANESスペクトルは転換電子収量法で測定するとアモルファスTiO_2様を示し、蛍光法で測定するとアナターゼ型TiO_2様を示した。転換電子収量法の測定深さは高々2~300nmであり、蛍光法のそれは数μmに及ぶことから、同表面の極表層は非晶質で内部が結晶化していると推測された。また同表面に付着していた骨中のチタンからはルチル型TiO_2が極めて微量検出された。フィクスチャー表面はアモルファスかアナターゼ型のTiO_2であり、ルチル型は含まれないことから、骨中の微量チタンはフィクスチャーから溶出し、再析出する過程で生成した可能性が示唆された。 またフッ素含有溶液で処理した歯質表面についても、同様に表面敏感なXAFS測定法による評価を行い、フッ素濃度の変化により表面のCaの化学状態が変化する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯科用インプラント表面のチタンおよびカルシウムなどの状態変化を深さ方向の変化と共に評価するという目的に対し、深さ分解的にXAFS測定を行う条件が概ね推定され、今後はより詳細な分析が可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
インプラント表面処理の種類を増やし、系統的に最適な表面処理と表面構造の関係を模索すると共に、微小部XAFS法などを併用して、深さ分解能の精度を高める。
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