研究課題/領域番号 |
23390438
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
宇尾 基弘 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20242042)
|
研究分担者 |
會田 英紀 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (10301011)
和田 敬広 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10632317)
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20210627)
本郷 敏雄 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60142444)
朝倉 清高 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (60175164)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | インプラント / 表面処理 / 骨結合 / X線 / XAFS |
研究概要 |
本年度は軟組織試料の元素分布の面分析および位置依存的なXAFS測定を目的として、歯科用金属材料に近接し、微量の合金成分元素を含有する軟組織標本を通法に従って薄切した試験片を用意し、これを放射光蛍光X線分析(SR-XRF)で微量金属元素の分布状態を二次元的に分析すると共に、金属局在部のX線吸収微細構造(XAFS)測定を行って、微小領域での金属の化学状態の評価を試みた。 その結果、厚さ数ミクロン程度の薄い試験片に含まれる、数~数十ppmレベルの低濃度の金属でもSR-XRFで十分可視化可能であり、局在金属のXAFSスペクトルからこれら金属元素が水和イオンもしくは酸化物などの反応生成物であることから、金属の溶出が合金からの溶出物であることが判明した。 また一部の口腔粘膜疾患(口腔扁平苔癬など)では金属修復物との相関が指摘されているが、これまで組織中への金属元素の吸収・局在を調べた研究は無く、推測に過ぎなかった。病理組織標本は貴重な試料で有り、破壊を伴う通常の微量分析法(例えばICP-AESやICP-MSなど)は適用困難で有り、非破壊で微量元素を分析する必要がある。本研究で用いているSR-XRFと蛍光XAFS法は、試料に損傷を与えず微量分析を可能にする点で、病理標本分析に適している。 本研究では金属修復物に近接する粘膜疾患の病変部から、本研究手法で歯科用合金成分が検出され、他方、金属修復物に接していない組織や別の疾患では金属が検出されないことから、溶出金属元素と病変との関係が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
微量元素の蛍光X線による分布分析と、微小部XAFS解析については、微量元素に関しても安定した計測が可能な条件が確立された。現在はこれを3次元に拡大するための手法について検討を行っている。 以上より、本研究について概ね順調に進展していると自己評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は断面微小部XAFS分析および深さ分解XAFS分析手法を用いて、金属/骨や金属/軟組織界面の組成・構造変化の評価を中心に研究を遂行する。
|