研究課題
ブラキシズム(Brx)は顎関節症の増悪因子であり,筋・筋膜症状を悪化させる.特に睡眠時のBrxへの対応は,臨床的に困難であることが多い.しかしながら,治療法はスプリント装着という対症療法のみであり,他の治療選択肢は見当たらない.申請者らは,顎関節症に伴う筋症状に抗ヒスタミン薬が著効することを示したが,近年,抗ヒスタミン薬に過剰な筋活動を抑制する効果があることも見出した.本研究ではBrx患者への抗ヒスタミン薬の抑制効果を示すことで,対Brxの新規治療法を確立することを目的として行った.前年度までに、組織内で産生されるヒスタミンの筋活動への影響を確認するため,強制歩行モデル,およびマウス咀嚼運動モデルを用いた抗ヒスタミン薬投与に伴う疲労耐性への影響について検討を行い,Fexofenadine(4mg/kgBW in Saline)の腹腔内投与により,有意に早期に筋活動を停止することが示されている.また同様に,ヒスタミン関連遺伝子(ヒスチジン脱炭酸酵素:HDC,)欠損マウスにおいても,強制歩行および咀嚼運動の両方で易疲労性が示された.その起因メカニズムとして,IL-1‐ヒスタミン誘導系による微小循環維持機構の障害が考えられた.これを本研究の仮説基盤とし、本年度は咀嚼運動における影響について検討を行った。筋組織内のグリコーゲン量に関しても,抗ヒスタミン薬の投与による有意な減少が認められた.加えて,ヒスタミンにより誘導される内皮型一酸化窒素合成酵素の発現,および酸化窒素代謝物量が低下し,外的なIL-1投与(iv. 200pg/ml)による回復が確認されたことから,抗ヒスタミン薬がマウスで認められる咀嚼様運動において,その筋活動を阻害する可能性が示された.以上の結果は,臨床試験から得られるであろうブラキシズムに伴う筋活動の減少と顎関節症状の改善という結果を裏付けるものと考えられる.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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